概要
収益性分析の主要なマスタである分析対象、特性・値項目、通貨について、解説する。
カスタマイズ、トランザクションコード
- KEP8 – 登録: 分析対象
- KEKK – 割当: 管理領域→分析対象
- KEKE – 有効化: 収益性分析
- KEA5 – 更新: 特性
- KEA6 – 更新: 値項目
- KEA0 – 更新: 分析対象
- KECP – コピー: 分析対象
マスタデータ
組織ユニット:分析対象
収益性分析で定義する組織ユニットは、分析対象のみである。分析対象は、収益性分析で分析・管理する単位であり、多くの会社は子会社含めて1つのみ作成する。
分析対象には、複数の管理領域を割当する。管理領域には会社コードが割当されているため、分析対象には複数の会社コードが紐付く。
※参考:1-1.管理領域、組織ユニット
特性、値項目
収益性分析のデータ(伝票)は、特性と値項目という項目で管理される。最初はとっつきにくいが、わかれば大したことないので、ここで理解しておこう。
特性 (ディメンジョン) | 分析の軸となる項目。会社コード、営業部、会計年度、製品や得意先など。 これらの組み合わせを「セグメント」という。 |
値項目 (メジャー) | 金額や数量を扱う項目。分析対象の数値。 売上高、売上原価、販売数量など。 |
例えば、ある製品の顧客別期間別売上レポートを表示する場合、特性:製品、顧客(得意先)、期間、ごとに値項目:売上を集計して表示している。
DB
伝票番号 | 分析対象 | 管理領域 | 会計期間 | 製品 | 得意先 | 売上高 | 販売数量 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
PA00001 | 1000 | 1000 | 1(月) | XA001 | Customer01 | 110 | 11 |
PA00002 | 1000 | 1000 | 2(月) | XA001 | Customer01 | 120 | 12 |
PA00003 | 1000 | 1000 | 3(月) | XA001 | Customer01 | 130 | 13 |
… | … | … | … | … | … | … | … |
↓
レポート
製品 | 顧客 | 1(月) | 2(月) | 3(月) | … | 12(月) |
---|---|---|---|---|---|---|
XA001 | Customer01 | 110 | 120 | 130 | … | XXX |
XA001 | Customer02 | 200 | 210 | 220 | … | XXX |
… | … | … | … | … | … | … |
特性について(詳細)
特性は、SAP標準でいくつかの項目が予め用意されている。例えば、会社コード、プラント、製品など。また、特性項目を追加することも可能。追加の方法は、次の2パターンである。
- テーブルを参照した項目
- SAP内の既存テーブルにある項目を、特性とする。例えば、「品目階層(PRDHA)」など。
- テーブルを参照しない項目
- SAPのテーブルにないオリジナルの項目を用意する。
特性の追加は、1つの分析対象につき50項目までである。また、コード体系は「WW001」のように“WW”始まりの4桁or5桁である。
特性値について
特性のうち、区分値を持っているものを特性値という。
例えば、輸出区分として[01]国内、[02]海外、といった特性値が設定できる。
値項目について(詳細)
値項目は、特性のようにSAP標準で用意されている項目はない。すべてユーザ独自で定義する必要がある。
コード体系は「VV001」のように“VV”始まりの4桁or5桁である。
通貨
収益性分析で登録される伝票の通貨は、原価ベースなのか、勘定ベースなのかによって異なる。
利用可能な通貨 | 補足 | |
---|---|---|
原価ベース | ・分析対象通貨 ・国内通貨(会社コード通貨) | 基本は分析対象通貨のみ。 設定によって国内通貨も使えるが、 データ量が2倍になる。 |
勘定ベース | ・管理領域通貨 ・国内通貨(会社コード通貨) ・取引通貨 | すべての伝票に対して、3つの通貨で データを保持する。 |
カスタマイズ操作方法
分析対象の登録:KEP8
- SPRO>企業構造>定義>管理会計>登録: 分析対象(Tr-Cd:KEP8)を起動する。
- 「新規エントリ」を押下し、以下のデータを入力して保存する。
分析対象 | 1000 |
分析対象名 | (任意) |
管理領域を分析対象に割当:KEKK
- SPRO>企業構造>割当>管理会計>割当: 管理領域→分析対象(Tr-Cd:KEKK)を起動する。
- 管理領域「1000」に対して、分析対象「1000」を入力して保存する。
分析対象の原価ベースを有効化する:KEKE
- SPRO>管理会計>収益性分析>実績値フロー>有効化: 収益性分析(Tr-Cd:KEKE)を起動する。
- 分析対象「1000」に対して、原価ベースをONにして保存する。
※勘定ベースを有効化する場合は、勘定ベースをONにする。
特性の設定:KEA5
- SPRO>管理会計>収益性分析>構成>分析対象定義>更新: 特性(Tr-Cd:KEA5)を起動する。
- 「特性項目の登録」の「特性」欄に「PRDHA(品目階層)」を入力し、「登録/変更」ボタンを押下する。
- SAP標準で用意されている項目の場合(品目階層はこちら)
- 「SAPテーブルから転送」を選択し、Enterを押下する。
- 元テーブルに「MARA」、元項目に「PRDHA」を入力して保存する。
- ユーザ独自の項目を作る場合
- 「ユーザ定義」を選択し、「特性」欄にコード値を入力する。
- 「値更新なし」を選択して、Enterを押下する。
- 値項目のテキスト、データタイプ、長さを入力して保存する。
- SAP標準で用意されている項目の場合(品目階層はこちら)
値項目の設定:KEA6
- SPRO>管理会計>収益性分析>構成>分析対象定義>更新: 値項目(Tr-Cd:KEA6)を起動する。
- 「値項目の登録」の「値項目」欄に「VV001」を入力し、「登録/変更」ボタンを押下する。
- 詳細情報を入力して、保存する。
※「[VV001]売上高」以外も同様に登録する。
値項目 | テキスト | 他属性 | 集計 |
---|---|---|---|
VV001 | 売上高 | 金額 | SUM(集計) |
VV011 | 販売数量 | 数量 | SUM(集計) |
VV021 | 売上原価 | 金額 | SUM(集計) |
特性と値項目の割当:KEA0
特性と値項目の割当、有効化
登録した特性と値項目を分析対象に割当する。
- SPRO>管理会計>収益性分析>構成>分析対象定義>更新: 分析対象(Tr-Cd:KEA0)を起動する。
- 分析対象「1000」を入力し、「登録」ボタンを押下する。
- データ構成>収益性分析タイプ>原価ベース をONにして、保存する。
※勘定ベースを利用する場合は、勘定ベースもONにする。 - データ構造>「登録」ボタンを押下する。
- コピー元から項目を選択し、「<」ボタンを押下して、「データ構造」に配置する。
→先ほど登録した特性、値項目を、すべて「データ構造」に配置する。 - 「有効化」ボタンを押下する。
→Statusが「有効」になることを確認。
通貨の設定、各設定の有効化
分析対象通貨の設定、および各ステータスの有効化を行う。
- 引き続き設定画面の「環境」タブ>クライアント非依存部分>「有効化」ボタンを押下する。
- 「属性」タブ>「変更」ボタンを押下する。
- 分析対象通貨「JPY」、会計年度バリアント「(会社コードで使っているもの)」を入力して保存する。
※参考:財務会計(FI)1-3.会計年度バリアント - 「環境」タブ>クライアント依存部分>「有効化」ボタンを押下する。
→「環境」タブのクライアント依存、非依存、「データ構造」タブのステータス、分析対象の真下のステータス、すべてが有効化されていることを確認。
【参考】クライアント間コピー:KECP
Tr-Cd:KECPにより分析対象のコピーが可能。移行時に利用する。
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
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