「SAP業界・コンサル業界に入ったものの、将来像がまだ漠然としている」
「コンサルになるまでのステップがわかっていない」
私は、SAPコンサルをやりながら社内で採用や教育もしております。
その中で、キャリアについても話しますが、SAPコンサルの将来像がぼんやりとしている人もいます。
そこで、SAPコンサルとして活躍するまでのキャリアプランを具体的に説明します。
例として「未経験から10年でSAPコンサルになり、年収800万円に到達するキャリアプラン」を挙げます。
私自信もそうですし、私が育成してきた後輩も10年で年収800万円は到達できるラインにいます。
そのため、再現性のあるプランだと言えるのではないでしょうか。
SAPは、IT業界の中でも比較的高年収が得やすい職業だと言えます。
お金だけがすべてではありませんが、わかりやすく年収で目標設定しました。
SAP業界に就職ばかりの人、SAP業界に興味がある人は、5年後、10年後の目標にしてみてはいかがでしょうか。
SAPのFI、COコンサル。また、社内では採用、コンサル人材の育成をしています。また、転職活動を2回経験しており、年収UPや残業時間減少を実現しています。転職後は毎年数十万円の昇給を達成しています。
社内から転職していく人もいますが、正直「もっといい方法があったのに、、、」と思うこともあり、少しでも良い転職をしてほしく、キャリアについてのノウハウを発信しています。
■対象者 ・SAP業界(IT業界)に従事する業界歴1~3年の人 ・これからSAPコンサルを目指す人 ■この記事で理解できること ・SAPコンサルになるまでのキャリアアップがわかる ・キャリアアップにおける要点、やるべきことがわかる
【25歳】IT未経験からエンジニア(年収300万円)
イメージしやすいように、25歳でSEに転職すると仮定しましょう。
まずは、SAP事業を扱っている会社に転職し、エンジニア(SE)になりましょう。
当ブログでは、いきなりコンサルではなく、エンジニアになるキャリアプランを推奨しています。
いきなりコンサルからスタートするキャリアもありますが、エンジニアからスタートする方が一般的です。また、開発がわからないままコンサルになると、開発感覚がないために困ることも多いので、開発経験を積むことをオススメしています。
また、転職前に勉強しておくことや、対策しておくべきことは少ないため、IT業界を目指す場合はさっさと転職しましょう。年齢が上がると転職が厳しくなるため、事前準備を頑張るよりも早めに転職する方が内定率は高いです。
転職について
SAP業界を知る
Skill Up
【25歳~30歳】エンジニア(年収300万円→550万円)
さて、SEになりました。どれくらい実務経験を積めばよいでしょうか。
個人的には、5年程度(学習が早い人であれば3年程度)でよいと考えています。
そして、この5年間で年収は300万円から550万円に上がっている想定です。
つまり、毎年50万円上がる計算です。もちろん、SE転職時の年収が高ければ、高い水準のまま毎年50万上がると考えてもらってよいです。
この毎年50万円UPは、少しアグレッシブ目な数値です。
ですが、市場価値を考えるとこのくらいUPして然るべきです。
社内で毎年50万円昇給すればそれでよいですし、しないのであれば転職も視野に入れた方がいいでしょう。実務経験を見ればこの水準より上の金額でオファーしてもらえるはずです。
実務経験
先ほど「5年」という期間を出しましたが、具体的には、次のことが一通り経験できていればOKです。
- アドオン機能をイチから開発~単体テストをした経験(=既存機能の改修ではない)
- DBの作成
- ALV機能の開発
以下は「あれば、なお良い」経験です。
- 汎用モジュールの開発、改修経験
- Dynpro
- 設計書作成(設計は開発よりも上流になるため、あればキャリア形成に有効です)
また、これらは「何も資料を見ずに作業できる」ほどの高レベルは必要ありません。
他人の助力なく、一人でもなんとかできるレベルでよいです。過去の資料見て思い出しながらできる、ちょっと調べながらやればできる、でいいのです。
この自力で解決できる、ということが重要です。このレベルであれば、コンサルになっても開発経験を活かして仕事ができると考えています。
注意点
注意点として、運用・保守フェーズのみを長く経験するのは控えましょう。
運用・保守は狭い範囲の機能しか経験できないため、開発スキルのキャッチアップがなかなか進みません。早めに別のプロジェクトに異動できるよう会社に相談しましょう。それが難しければ転職した方がよいです。
もちろん、短い期間であれば運用・保守期間を経験するのは、非常に学びがあります。
稼働後の状況(ゴール)が掴め、ゴールをイメージした仕事ができるようになります。
Skill Up
実務経験以外でキャリアを加速させる手段を紹介します。
まず、SEなりたての人は、IT業界の基本を押さえましょう。次の資格を目標に勉強しやすいと思います。もちろん、すべてを取る必要はありません。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
また、以下の書籍で概要を押さえるのも効果的です。
ITの基本が押さえられたら、次は業務知識、およびSAPの知識を入れていきましょう。目標にしやすい資格試験は次のとおりです。
- 商業簿記3級、2級
まずは商業簿記3級を取りましょう。2級は余力があればでOKです。
- SAP認定試験(過去問丸覚えではなく、カスタマイズ・SAP標準機能を理解しましょう)
- SAP実機操作によるキャッチアップ
コンサルになるには
結論から言うと、上流工程に携われる会社に入社しましょう。
※上流工程は、要件定義フェーズと捉えてください。
現職が上流工程から参画させてもらえるのであれば、そのままの会社で頑張ればよいですし、そうでなければ転職を検討しましょう。
多くの人は、上流工程にお手伝いとして参画することから、コンサルキャリアが始まります。
つまり、先輩コンサルについていく形でコンサル見習いとしてアサインされるのです。
この上流工程から入れる会社でなければ、いくら能力があってもコンサルとしてアサインされる可能性は低いです。(もちろん、タイミングという運の要素もあります。)
上流工程に携われる会社かどうかは、先輩社員を見ればわかります。先輩社員が上流工程から参画できていれば、いずれあなたも同じように上流から参画できるでしょうし、そういう人が少なければチャンスは少ないでしょう。
コンサルになれるチャンスが低いということがわかれば、早めに転職を検討しましょう。
【30歳~35歳】コンサル(年収550万→800万)
さて、コンサル見習いとしてアサインされるようになりました。
最初は、要件定義の議事録とりやカスタマイズの手伝い、設計書を書く、といった簡単な実務をしながらスキルを身に着けていきます。
これを繰り返して、SAPに詳しくなり、顧客業務に詳しくなり、一人前のコンサルになっていきます。
5年くらい経験を積めば、一人前のコンサルと言っていいのではないでしょうか(シニアコンサルとしましょう)。
そして、この5年間で年収は550万円から800万円に上がっている想定です。
SEと同じく、毎年50万円上がる計算です。
昇給についてもSEと同じ考えで、社内で毎年50万円昇給しなければ転職も視野に入れましょう。上流工程を5年経験していれば、それなりのオファー額が期待できます。思っているより市場価値は高くなっているものです。
実務経験
ここでいう一人前のコンサル(シニアコンサル)は、コンサルを5年、もしくはプロジェクトを3つくらい経験した人を想定しています。
スキルセットとしては、特定1領域のカスタマイズが一通りできる、SAP標準機能が使える程度です。
基本的には、上流工程から携わっていれば実務を通して身につくスキルです。
ただし、経験を積むうえで注意しておきたいポイントがあるので、解説します。
しかし、注意点と言いつつも個人ではコントロールできない要素が大きいです。
そのため、可能であれば注意しておく、という程度で捉えてください。
- なるべく上流から参画する
設計フェーズから参画よりも、要件定義から参画の方が望ましいと捉えてください。より上流の方が高難度の仕事で、人材としての市場価値も上がります。選択の余地があれば、より上流から参画できる方を選びましょう。
- 上流から下流(稼働)までを短いスパンで経験する
1つのプロジェクトに4年半よりも、3つのプロジェクトに4年半(1年半×3)の方が望ましいです。1つのプロジェクトが長いとその会社の業務・機能には詳しくなりますが、他の会社には通用しないことも多いです。そのため、多くのパターンを知っている方がいいわけです。
あまりにも同じ作業の繰り返しであったり、実務経験やスキルアップできない期間が続くようであれば、社内の上司や営業と相談して、別のプロジェクトに変わりたいと打診しましょう。
Skill Up
先ほどと同様、実務経験以外でキャリアを加速させる手段を紹介します。
コンサルの知識は、業務理解とSAPの理解があれば十分です。
基礎固めとして、以下を目標にするとよいでしょう。
- 商業簿記3級、2級
まずは商業簿記3級を取りましょう。2級は余力があればでOKです。
- SAP認定試験(過去問丸覚えではなく、カスタマイズ・SAP標準機能を理解しましょう)
- SAP実機操作によるキャッチアップ
さらに、以下はプラスαのスキル(経験も込み)になります。
あれば、市場価値を上げる要素になりますので、余力があれば挑戦しましょう。
- 1領域ではなく、複数領域の知識
たとえば、財務会計のカスタマイズ、標準機能を理解した後、管理会計に手を伸ばすなど。
- リーダー経験、PMO経験
会社やタイミングによる部分が大きいですが、チャンスがあれば挑戦しましょう。
- 英語力
個人でやりやすいのは、英語力。実務経験があればベストですが、TOEICのようにわかりやすい指標があればよいです。
シニアコンサルになるには
コンサルとシニアコンサルに明確な区切りがあるわけではありませんが(会社によりますが)、前述した経験値とスキルセットがあればシニアコンサルと言っていいでしょう。
この時点で年収800万円に届いていなければ、転職すれば余裕で到達するでしょう。経験値や転職先の会社にもよりますが、年収1000万円も射程圏内です。
まとめ
ここまで読んでもらえるとわかるのですが、コンサルティングファームに入社すれば、自動的にコンサルになれます。
ただし、コンサルになるまでにはいくつか躓く点もあります。
特定プロジェクトの運用・保守を必要以上に長く経験する、など。契約更新いただけるのはありがたい話ですが、キャリアアップという意味では遠のいてしまいます。
その躓く点をなるべく回避すれば、着実にキャリアアップできます。
そのために、やるべきことは大きく2つに集約されます。
- 社内の上司、人事、営業とコミュニケーションを取る
- 定期的に市場価値を測る(転職エージェントの活用)
まず、社内の上司、営業と日頃からコミュニケーションを取りましょう。
自分の希望を話し、アピールし、会社の期待を汲み取り、認められ、上流プロジェクトへアサインしてもらえるよう認識を擦り合わせていくのです。
もし、コンサルになれるチャンスが低いということがわかれば、その時転職を検討しましょう。
転職は、あくまで手段なので、現職で可能であれば、それでよいわけです。
現職で可能かどうかを判断するために、日頃から会社とコミュニケーションを取りましょう。
次に、定期的に自分の市場価値を測りましょう。
つまり転職エージェントと話をするなり、転職活動なりをしてみましょう。
もちろん、必ず転職する必要はありません。
社内の人ではない第三者からの視点、評価がもらえること、自分の経験や価値観の棚卸しができること、そこに意味があります。
キャリアを考えることは、将来を考えることでもあります。ご自身の価値観に合ったキャリア形成を考え、豊かな人生にしていきましょう!
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