概要
レポートの中でも、仕入先や得意先に連絡するものを連絡文書と呼んでいる。今回は連絡文書についてカスタマイズと出力方法について解説する。
カスタマイズ、トランザクションコード
- OB77 – 連絡文書タイプ変更
- OB78 – 自動連絡文書用プログラム割当
- F.61 – 連絡文書用トリガ
連絡文書
連絡文書とは
連絡文書とは、誰かに何かを伝えるためのレポート。
たとえば、支払明細通知書、督促状など。
得意先、仕入先マスタの設定
得意先、仕入先への連絡文書に関して重要な項目は、以下のとおり。
一般データ | |
住所 | 連絡文書に印刷する住所になる。 |
言語 | たとえば督促状では、得意先の言語にあわせて出力される。 |
会社コードデータ | |
銀行報告書 (勘定報告書) | 定期的な報告書を送付するために利用する項目。 1[週次勘定報告書]、2[月次勘定報告書]というように報告書を 出力する周期などでグルーピングする。 ※銀行報告書は実機上、勘定報告書と表記されている可能性あり |
連絡文書の設定
連絡文書の設定(カスタマイズ)は、実機を見るだけではわかりにくい。以下の図と実機操作をあわせて理解を進めてほしい。
連絡文書タイプ
連絡文書タイプは、システム内での文書の種類(支払通知書、未消込明細一覧、など)を表す。SAP標準で用意されているが、ユーザが追加することも可能。SAP標準で用意されているものは、次のとおり。
- SAP01:支払通知
- SAP06:勘定報告書
- SAP10:個別連絡文書
- SAP14:未消込明細一覧
また、次で説明するとおり連絡文書作成時のパラメータを保持している。
連絡文書タイプの構成要素
勘定必須 | 勘定コードをパラメータとするか ※連絡文書起動時に、得意先コードor仕入先コードが入力必須になる |
伝票必須 | 伝票番号をパラメータとするか ※連絡文書起動時に、伝票番号が入力必須になる |
個別テキスト | ONにすると、書式にテキストを追加できる ※カスタマイズ「割当: 連絡文書タイプのプログラム」で入力欄が出てくる |
会社コード間 | ONにすると、会社コード間で連絡文書を使用できる |
日付詳細数 | 最大2までで日付をパラメータに指定できる ※連絡文書起動時に、日付が入力必須になる |
第一日付テキスト | パラメータの項目名 |
第二日付テキスト | パラメータの項目名 |
レポートのプログラム(印刷プログラム)の割当(OB78)
連絡文書を出力するには、レポート用のプログラムを利用する。出力する連絡文書に応じて利用するプログラムが異なるため、連絡文書タイプごとにレポートプログラムを指定する必要がある。トランザクションコードOB78で実施する。なお、レポートプログラムは印刷プログラムと呼ばれる。
以下によく利用される印刷プログラムを記載する。
※「O(オー)」と「0(ゼロ)」に注意すること。
連絡文書 | 印刷プログラム |
---|---|
支払通知 | RFKORD00、RFKORD00_PDF |
勘定報告書 | RFKORD10、RFKORD10_PDF |
個別文書 | RFKORD40、RFKORD40_PDF |
伝票抽出 | RFKORD50、RFKORD50_PDF |
得意先報告書 | RFKORD11、RFKORD11_PDF |
レポートのバリアント、書式の割当(OB78)
印刷プログラムで利用するバリアント、および書式を割当する。バリアントは印刷プログラム実行時のパラメータ(どの書式か、プリンタの指定など)を保持しており、書式には実際の連絡文書のレイアウトが保持されている。
トランザクションコードと連絡文書タイプの紐付け(呼出機能)
トランザクション起動時に連絡文書を起動できる。どのトランザクションで連絡文書を起動できるかを制御している設定がこの呼出機能である。
連絡文書タイプ | 伝票入力 | 支払転記 | 伝票照会 (D照会) | 勘定照会 (A照会) |
---|---|---|---|---|
SAP01[明細付支払通知] | X | |||
SAP06[勘定報告書] | X | X | X | X |
SAP10[個別連絡文書] | X | X | X | X |
トランザクションは、伝票入力、支払転記、伝票照会、勘定照会というざっくりとした分類になっている。なお、ここでいう「勘定」とはG/L勘定だけでなく、得意先、仕入先を含めた広い意味の勘定となっている。
- 伝票入力:FB50,FB60,FB70など
- 支払転記:F-28,F-53など
- 伝票照会:FB02,FB03など
- 勘定照会:(得意先系)FD10N,FBL5N,(仕入先系)FK10N,FBL1N,(旧GL)FBL3N,(NewGL)FAGLL03など
連絡文書の登録ステップ
連絡文書を登録する際のステップは、以下の通り。ただし、SAPでは2ステップ(下図の①と②)という形で説明しているので、試験に出るとしたら2ステップと答えるのが正である。
- 必要な連絡文書の依頼
たとえば、得意先請求書を入力し、続けて個別連絡文書を作成すること。作成したものは即時に印刷されるのではなく、「依頼」という単位で印刷準備が完了した状態になる。 - 依頼された連絡文書タイプの印刷
別トランザクションを用いて印刷準備完了している連絡文書を実際に出力する。
カスタマイズ操作方法
今回は、2パターンの操作を実施する。
- オーソドックスな連絡文書タイプの登録→連絡文書の依頼→印刷の流れ
- 定期勘定報告書を用いた連絡文書の出力
連絡文書タイプの登録、設定
設定は、以下3つを実施する。
- 連絡文書タイプの登録(OB77)
- 印刷プログラム、バリアント割当(OB78)
- トランザクションコードと連絡文書タイプの紐付け(呼出機能)
連絡文書タイプの登録(OB77)
- SPRO>財務会計>財務会計共通設定>連絡文書>定義: 連絡文書タイプ(Tr-Cd:OB77)を選択する。
- 「新規エントリ」ボタンをクリックする。
- 以下のデータを入力して、保存する。
連絡文書 | Z0001 |
連絡文書タイプ | ユーザ定義テキスト |
勘定必須 | ON |
個別テキスト | ON |
- 依頼登録を選択する。
- テキスト項目に「連絡文書登録」を入力する
- 保存する。
印刷プログラム、バリアント割当(OB78)
- SPRO>財務会計>財務会計共通設定>連絡文書>割当: 連絡文書タイプのプログラム(Tr-Cd:OB78)を選択する。
- 「新規エントリ」をクリックする。
- 以下のデータを入力して、保存する。
会社コード | 1000 |
連絡文書 | Z0001 |
印刷プログラム名 | RFKORD40 |
バリアント名 | SAP10 |
テキスト | F140_IND_TEXT |
トランザクションコードと連絡文書タイプの紐付け(呼出機能)
- SPRO>財務会計>財務会計共通設定>連絡文書>割当: 呼出機能 を選択する。
- 「新規エントリ」をクリックする。
- 以下のデータを入力して、保存する。
会社コード | 1000 |
連絡文書タイプ | Z0001 |
伝票(伝票入力) | ON |
支払(支払転記) | |
D照会(伝票照会) | ON |
A照会(勘定照会) | ON |
連絡文書の依頼
※事前準備として、得意先請求書の登録しておく。登録方法がわからない場合は、以下を参考に伝票登録を実施する。得意先請求書が登録できればひとまず何でもよい。
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>債権管理>伝票>照会 を選択する。
- 先程登録したクレジットメモの伝票を照会する。
- メニューバー>環境>連絡文書 を選択する。
- 以下のデータを入力して、Enterを押下する。
会社コード | 1000 |
得意先コード | Customer01 |
- 任意のテキストを入力する。
- 連絡文書を保存する。
- 「前画面」をクリックし、連絡文書が依頼されたことを確認する。
依頼された連絡文書タイプの印刷
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>債権管理>定期処理>連絡文書印刷>依頼別 を選択する。
- 会社コードに「1000」、ユーザに自身のユーザを入力して、実行する。
- プリンタを指定する。
- Enterを押下する。
- メニューバー>一覧>印刷 を選択する。
最後に出力された連絡文書を確認する。
- メニューバー>システム>自分のスプール依頼(Tr-Cd:SP02)を選択する。
- 連絡文書を選択し、内容照会を選択する。
定期勘定報告書の出力
定期勘定報告書を用いた連絡文書の出力を実施する。
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>債権管理>マスタレコード>変更 を選択する。
- 得意先コードに「Customer01」、会社コード「1000」を入力して、Enterを押下する。
- 「会社コードデータ」を選択する。
- 連絡文書タブを選択し、銀行報告書(勘定報告書)に「2[月次勘定報告書]」をセットして保存する。
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>債権管理>定期処理>連絡文書印刷>定期勘定報告書 を選択する。
- 以下のデータを入力し、Enterを押下する。
会社コード | 1000 |
勘定タイプ | D[得意先] |
勘定 | Customer01 |
マスタレコード内フラグ | 2 |
勘定報告書基準日 | 本日の日付 |
連絡文書 | SAP06 |
- Enterを押下する。
- メニューバー>システム>自分のスプール依頼 を選択し、出力したレポートを確認する。
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
---|---|---|
BKORM | 会計連絡文書請求 | |
T048 | 連絡文書タイプ | |
T048I | 連絡文書タイププロパティ | 呼出機能の設定を保持 |
T001F | 会社コード依存書式選択 |
演習問題
※複数回答の設問あり。
※答えはドラッグすると見れる。
次の文章について、正誤を答えよ。
督促状は、得意先への連絡文書の一種である。
A. 正
B. 誤
正解:A
カスタマイズ「定義: 連絡文書タイプ」で設定する項目はどれか。
A. 勘定必須
B. 伝票必須
C. 印刷プログラム
D. バリアント
正解:AB
連絡文書の登録に必要なステップを選択して、順に並べよ。
A. 伝票登録
B. 依頼された連絡文書の印刷
C. 連絡文書の依頼
D. 連絡文書タイプの登録
正解:C→B
支払伝票登録時、連絡文書の作成を試みたが、特定の連絡文書タイプについて選択ができなかった。どのカスタマイズを確認するべきか。
A. 連絡文書タイプの定義
B. 呼出機能の設定
C. 連絡文書タイプに割当されている印刷プログラム
D. 連絡文書タイプに割当されているバリアント
正解:B
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