概要
財務会計における通貨の基本について解説する。
カスタマイズ、トランザクションコード
- OY03 – チェック: 通貨コード
- OBBS – 定義: 外貨換算の換算比率
- OB08(F-62) – 入力: 換算レート
通貨について
通貨コードとは
業務上使われる通貨に対して、通貨コードが割り当たっている。データベース上は、この通貨コードでデータを保持している。
通貨コード | 通貨の単位 |
---|---|
JPY | 円 |
USD | USドル |
EUR | ユーロ |
… | … |
換算レート
まず、話を簡略化するため、以後日本にある会社を考える。
日本にある会社の場合、社外向けのレポートは日本円で展開する。仮に海外に商品を販売してドル建ての売掛金があった際は、日本円に換算してレポートすることになる。このときの換算率を換算レートと呼んでいる。たとえば、1ドル=123円、といったもの。
上記、1ドル=123円をSAPでは、換算レートタイプ、換算係数、換算レートの設定によって管理している。それぞれ解説する。
換算レートタイプ
レートといっても根拠とするデータはいくつもあるため、「どのレートを採用しますか」を決めているのが換算レートタイプ。デフォルトでは平均レート(M)になっている。選べる換算レートタイプは、以下のとおり。
- 取得時レー卜
- 電信売買売値
- 電信売買買値
- 平均レート(M)
- 特定基準日のレート
概念が理解しづらく、導入後はほぼ変更しないため、理解が難しければ頭の片隅におく程度でいい。
換算係数
換算レートは、単純に1ドル=123円と入力することもできるが、係数を使って【レート 1ドル=1.23円】、【換算係数 ドル:円=1:100】として、1ドル=レート×係数=1.23円×100=123円とすることもできる。
ややこしいと思ったら一度忘れてもらって構わない。こちらも1:1で導入して、その後ほぼ変更しないことが多い設定である。
換算レート
換算レートは、換算レートタイプ、日付ごとにデータを保持している。そのため、4/1は1ドル=123円、4/2は1ドル=124円とする場合は、日ごとに換算レートを変えることになる。
換算レートタイプ | 換算元 | 換算先 | 日付 | レート |
---|---|---|---|---|
M | USD | JPY | 2000/4/1 | 123 |
M | USD | JPY | 2000/4/2 | 124 |
逆算
業務上の重要度は低いが、テストに出る可能性があるため、触れておく。
先ほどの例を使うと、ドルから円に変換するレートを用いて、円からドルへの換算レートを更新することである。2000/4/1のレートを使うと、1円=1/123ドルに換算レートを更新する。
直接呼び値、間接呼び値
先ほどの例ではドルを円に変換したが、円をドルに変換する際に同じレートを使うことができる。つまり、2000/4/1のレートを使って、1円=1/123ドルに変換できる。これを間接呼び値という。
前述の「逆算」とは異なり、換算レート自体を更新する手段ではないことに注意。
換算レートの設定画面
換算レートのSAP実機画面は、以下のイメージである。これまでの説明をイメージで理解するために見ておいてほしい。
換算レートタイプ | 有効開始 | 間接呼値 | 係数(前) | 換算元 | 直接呼値 | 係数(後) | 換算先 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
M | 2000/4/2 | 1 | USD | 100.00 | 1 | JPY | |
M | 2000/4/1 | 1 | USD | 110.00 | 1 | JPY | |
… | |||||||
M | 2000/4/2 | 0.01 | 1 | JPY | 1 | USD |
- 2000/4/1は、1ドル=110円となる。
- 2000/4/2以降(つまり、2000/4/3などを含む)は、1ドル=100円となる。
※一番上にあるレートが最新のレートとなるようにソートされている。 - 2000/4/2の1ドル=100円を登録すると、間接呼び値の1円=0.01ドルが自動で登録される。
なお、換算係数を用いて同じレートを設定すると以下のようになる。
換算レートタイプ | 有効開始 | 間接呼値 | 係数(前) | 換算元 | 直接呼値 | 係数(後) | 換算先 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
M | 2000/4/2 | 1 | USD | 10.00 | 10 | JPY | |
M | 2000/4/1 | 1 | USD | 11.00 | 10 | JPY |
カスタマイズ操作方法
通貨コードの確認
SPRO>SAP NetWeaver>一般設定>通貨>チェック: 通貨コード
換算レートタイプの確認
SPRO>SAP NetWeaver>一般設定>通貨>チェック: 換算レートタイプ
換算係数の確認・更新
SPRO>SAP NetWeaver>一般設定>通貨>定義: 外貨換算の換算比率
換算レートの登録
SPRO>SAP NetWeaver>一般設定>通貨>入力: 換算レート
※入力の仕方は、換算レートの設定画面をご参考ください。
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
---|---|---|
TCURC | 通貨コード | |
TCURV | 換算レートタイプ | |
TCURR | 換算レート | |
TCURF | 換算係数 | |
TCURWKRTS | 換算係数(換算レートのワークリストへの割当) |
演習問題
※複数回答の設問あり。
※答えはドラッグすると見れる。
換算レートの更新について、作業を効率化するための機能は次のどれか。
A. 変換
B. 逆算
C. 換算
D. 静的レート
正解:B
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