【認定試験対策】管理会計(CO)6-5.品目BOM(部品表/配合表)

スポンサーリンク

概要

原価計算において品目BOMは重要なマスタになる。また、品目BOMは様々な領域で使用されるマスタであり、項目が多い。ここでは管理会計、特に原価計算に関連する項目に絞って解説する。

スポンサーリンク

カスタマイズ、トランザクションコード

  • CS01 – 品目BOM 登録
  • CS02 – 品目BOM 変更
  • CS03 – 品目BOM 照会

スポンサーリンク

数量構成ありの品目原価見積

数量構成とは、品目の構成を表す。具体的には、品目のBOMや作業手順、レシピなどの生産領域のマスタを指す。

原価計算には、「数量構成あり」と「数量構成なし」の2種類がある。「数量構成あり」とは、品目のBOMや作業手順、レシピを考慮して原価計算する。逆に「数量構成なし」とは、BOMや作業手順を考慮せずに原価計算する。

  • 品目マスタに加えて、BOM(部品の構成)と作業手順がSAP内に登録されていることを前提とする。
  • 使用例は、原価計算に必要な製造原価や販売原価を計算する場合、製造指図を参照しない原価計画や価格設定をする場合、標準原価による在庫評価を行う場合、など。

※参考:管理会計(CO)6-1.製品原価計画(PCP)の概要

スポンサーリンク

品目BOM(部品表/配合表)

品目BOM(部品表/配合表)とは

品目BOMは、品目の構成部品を表す。日本語だと部品表という言い方をするが、多くの場合、単に「BOM(ボム)」と呼ぶ。主に生産領域で使うマスタである。

6-1.製品原価計画(PCP)の概要に引き続き、車の原価計算を例にBOMイメージを提示する。

上図の例に、車のBOMを見ると、車がボディ、エンジン、タイヤ×4で構成されていることがわかる。図でもわかるとおり、原価積上においてBOMは材料費の情報源になる。

また、BOMは様々なアプリケーション(領域)で利用される。代表例としては、次のパターン。

  • 【調達】所要量計画:資材の所要量計算(MRP)に利用する。部品、原材料をどれくらい調達するかを計算する。
  • 【生産】製造:製品の生産に必要な部品、原材料を取得する。
  • 【管理会計】原価計算:品目原価の計算時、製品の構成品目を取得する。

原価計算レベル

原価計算レベルは、マルチレベルの原価計算を制御するために内部的に付ける番号。多段階のBOMを持つ品目の原価を計算するには、下層の品目から順番に材料費を積み上げていかなければならない。このとき、下層の品目はどれか(どの順番で材料費を計算するか)を決めるのが、原価計算レベルである。

【BOM構成の例】
※Levは原価計算レベル
最終製品(Lev4)┳原材料(Lev1)
       ┣半製品(Lev3)━原材料(Lev1)
       ┗半製品(Lev3)┳半製品(Lev2)━原材料(Lev1)
              ┗原材料(Lev1)

大前提として、原材料→半製品→最終製品の順で計算する必要があるので、それにあわせてレベルを付ける。また、半製品についは、半製品でも下層の品目を先に計算するようにレベル付けする。

なお、BOMに含まれない原価見積の明細には、レベル0が付けられる。

BOMヘッダ

BOMマスタのヘッダ情報には、以下を設定する。

ステータス

BOMステータスは、その名の通りBOMの状況を表す。ステータスに応じて、できる処理が制御される。例えば、設計で構築中ステータスのBOMは、MRPや生産管理、原価計算に利用できない。

BOMステータスMRP展開計画手配原価承認作業計画承認指図承認一括出庫受注
[1]有効
[2]無効
[3]有効(履歴必要)

BOMを原価見積で使用するには、原価承認がONのステータスをセットする。

品目BOMの用途

BOM用途は、BOMを使用するアプリケーション(領域)を制御している。BOMを原価計算で利用するには、原価計算フラグがONになっているBOM用途をセットする必要がある。

BOM用途生産設計PM予備販売管理原価計算
[1]生産+...
[2]設計/デザイン.+..
[3]一般.....
[4]プラント保全+..
[5]販売管理...+.
[6]原価計算....+

BOM用途のカスタマイズは、上記のイメージ。用途ごとに各アプリケーションで利用できるかどうかがプロットされている。設定できる区分は、次の3パターンのいずれか。

  • [+]必須エントリ:原価計算でBOMを必ず利用する
  • [.]オプションエントリ:原価計算でBOMを任意で利用する
  • [-]エントリなし:原価計算でBOMを利用しない

原価計算において、押さえておくべきポイントは以下。

  • 原価計算で利用するには、原価計算のフラグが[+]or[.]用途をBOMにセットする。
  • 原価見積のみに使用するBOMは、BOM用途「[6]原価計算」をセットする。
  • SAP標準で用意されているBOM用途の他に、ユーザ独自の用途を追加できる。

代替BOM

代替BOMは、同じ品目に対してバージョン違いでBOMを持たせる機能。他ブログで詳しく説明されているので、そちらの説明をお借りする。詳しくは、引用元を参照いただきたい。

代替BOMとは、BOMのバージョンのことです。
例えば、季節変動でカレーのルー:200ML 作るのに、通常は水:200ML でいいのだが、夏は蒸発しやすいので水:220ML 必要だとします。
この場合、代替BOM:1 では構成品目の水:200ML。
代替BOM:2 には構成品目の水:220ML。
と設定することにより、BOMの使い分けをできるようにします。
これを「代替BOM」を使って、1つの生産品目に対し、複数の構成品目情報を持たせることができます。

SAPコンサルブログ

ロットサイズ(基本数量)

生産ロット単位。特に意識しない場合は、「1」でよい。車の生産でいうと、”1台を生産するためのBOM”とするのか、”10台を生産するためのBOM”とするのか、を制御する。まとめてごそっと作る製品は、生産ロット数を入れておくと管理しやすくなる。

BOM明細

BOMマスタの明細情報には、以下を設定する。

数量(構成品目数量)

そのまま構成品目の数量を入力する。車の例だと、タイヤの数量に「4」を入力する。

明細カテゴリ

明細カテゴリは、明細を分類しているもの。BOM明細の初期値などを制御している。代表的な区分は、以下のあたり。

  • [L]在庫品目
  • [N]非在庫品目
  • [R]可変サイズ品目

[N]非在庫品目について

[N]非在庫品目は、在庫管理しない品目にセットする。例えば、バルク品(後述)は、在庫管理しないため「[N]非在庫品目」をセットする。常に外部から調達され、調達と同時に指図に割当される(=消費される)。

また、原価計算における金額情報は、次のいずれかのパターンで取得される。

  • 品目マスタがある場合:会計ビューから金額データを取得する
  • 品目マスタがない場合(テキスト管理の場合):金額データをBOM明細に直接入力する

固定数量フラグ

ロットサイズに関係なく消費するものに対して、固定数量フラグをONにする。例えば、梱包材など。1つ作っても2つ作っても1つに梱包する場合に利用する。固定数量フラグをONにすると、生産数に関わらず同じ数量が使用される。なお、代替明細と連産品については、このフラグをONにできない。

構成品不良率

構成品不良率は、部品の不良品率を設定する。設定値は、%で指定する。例えば、ネジ100個のうち、不良品が5個混ざっているとすると、5%と入力する。そして、所要量計算(MRP)の処理時、この不良率を考慮して必要数を計算する。

作業不良率

構成品不良率は、作業の失敗率を設定する。先程の構成品不良率の作業手順版である。例えば、10%を入力すると、作業手順マスタで10hとされている作業が11hで計算される。

連産品フラグ

そもそも連産品とは、ひとつの製品を作る際に一緒にできる品目のこと。例えば、牛を加工してサーロインを精肉すると、同時にバラやヒレなどもできる。このバラやヒレなどを連産品という。

この例では、サーロインだけ作ることはできず、必ずバラとヒレができる。ただし、SAPのBOMでは複数の製品が生産されることを管理できない。そこで、連産品フラグを利用する。

連産品となる品目には、連産品フラグを立てる。先程の例だとサーロインのBOMに牛があり、同時にバラとヒレも構成品目に入れる。そして、バラとヒレには連産品フラグを立てる。するとサーロイン完成時に、バラとヒレの数量もプラスされる(入庫という扱い)。

【重要】原価計算フラグ

原価計算に含めるかどうかを制御するフラグ。このフラグがブランクの構成品目は、原価計算に含まれない。

なお、フラグという名前だが区分値を持っている。基本は[ ](ブランク)か、[X]を使う。

  • [ ]原価計算無関係
  • [1]原価計算50%関係
  • [2]原価計算25%関係
  • [3]原価計算75%関係
  • [X]原価計算100%関係

バルク品目フラグ

バルク品に対して、バルク品目フラグをONにする。バルク品とは、ネジやボルトなど、在庫管理しない消費品目のこと。在庫管理しないため、明細カテゴリは「[N]非在庫品目」をセットする。

また、バルク品は、原価計算に含まれない。原価計算に含めず(直接材料費に含めず)、間接費として算出する形が推奨されている。どうしても原価計算に含めたい場合は、ユーザExitを使う。

なお、品目マスタ>MRP2ビュー にもバルク品フラグがあり、このフラグをONにしていると、BOMのバルク品フラグがONで初期値セットされる。初期値であり、BOMマスタ登録時に変更可能。

スポンサーリンク

カスタマイズ操作方法

【品目BOMマスタ】

ロジスティクス>生産>マスタデータ>部品表/配合表>品目BOM>登録(Tr-Cd:CS01)

【カスタマイズ】

  • SPRO>ロジスティクス – 一般>プロダクトライフサイクルマネジメント(PLM)>基本データ>部品表/配合表>一般データ>
    • BOM用途>定義: BOM 用途
    • 定義: BOM ステータス

スポンサーリンク

テーブル

テーブルID内容説明備考
STKOBOM ヘッダ
STPOBOM 明細BOMの構成品の一覧を保持
STASBOM – 明細選択
MAST品目の BOM へのリンク品目とBOMの紐付きを保持
STPUBOM 副明細

コメント

タイトルとURLをコピーしました