概要
G/L勘定(総勘定元帳勘定)について解説する。
カスタマイズ、トランザクションコード
- OB13 – 勘定コード表設定
- OB62 – 割当: 会社コード→勘定コード表
- OBD4 – 勘定グループ定義
- FSP0 – 勘定コードマスタ登録(勘定コード表)
- FSS0 – 勘定コードマスタ登録(会社コード)
- FS00 – 勘定コードマスタ登録
- S_ALR_87012333 – 勘定コード一覧
G/L勘定(総勘定元帳勘定)について
「勘定コード」について
まず、注意しなければならないのが「勘定コード」という言葉について。
SAPでは「勘定コード」という言葉が至るところで登場するが、その意味合いは一つではない。「勘定コード」と呼ばれるものは複数種類あり、それぞれ役割や意味合いが異なる。そのため、今どの勘定コードの話をしているかを切り分けて会話しなければならない。また、データベースにおいても似たような項目があるため、DBのどの項目がSAP画面上の項目と連動しているかを把握すること。
たとえば、G/L勘定コードと統制勘定コード(別の章で解説する)は、似ているが別物の勘定コードである。
※参考:ITビジネスライフ診断書┃【SAP FI知識】SAKNRとHKONTのちがいは?BSEG上の二つの勘定コード項目
G/L勘定(総勘定元帳勘定)について
【認定試験対策】財務会計(FI)1-2.新総勘定元帳で解説した総勘定元帳で利用する勘定コード。現金、売上、買掛金、売掛金など。業務的な勘定コードとほぼ同義であるため、馴染みやすい。
G/L勘定の構成:勘定コード表レベル、会社コードレベル
G/L勘定は2つのレベルで構成される。レベルは、レイヤーと思ってもらえばいい。その2つは、 勘定コード表レベル、会社コードレベルである。売掛金の勘定を例に見ていこう。
勘定コード表レベル
全社共通の項目を設定する。たとえば、勘定コードのテキスト。「売掛金」はどの会社でも「売掛金」と呼ぶため、全社共通の項目として設定する。
その他、勘定コード表レベルで設定する項目は次のとおり。
- 勘定コード
- 勘定の名称
- 管理項目
- 連結項目
会社コードレベル
会社別に設定する項目。たとえば通貨。売掛金の通貨を、日本企業とのやりとりがメインの会社であれば「JPY(円)」を設定し、USドル圏とのやりとりがメインの会社であれば「USD(USドル)」を設定する。
その他、会社コードレベルで設定する項目は次のとおり。
通貨(勘定通貨) | 通貨コードを設定 |
税(税カテゴリ) | 税に関係する勘定コードの場合に利用する。 「<:仮払消費税勘定」など。 |
統制勘定 | 統制勘定の場合に利用する。 「仕入先」「得意先」など。 |
明細照会 | |
ソートキー | |
項目ステータスグループ | 項目ステータスグループ(伝票入力時の表示/非表示などの制御)を指定する。 |
銀行ID | |
金利計算情報 |
貸借対照表勘定と損益計算書勘定
勘定コード表レベルの設定で、その勘定が貸借対照表勘定(B/S科目)か損益計算書勘定(P/L科目)かを指定する項目がある。B/S科目であれば、次期繰越により翌年度へ残高を引き継ぐ必要があるため、それを区別するための項目である。
また、P/L勘定については、残高が未処分利益勘定という勘定に繰越され、P/L勘定の翌年度期首の残高はゼロになる。未処分利益勘定についてはシステム的な要素が強いため、実際にSAPを動かしながら理解することを特におすすめする。
マスタの登録について
勘定コード表レベルでの登録、会社コードレベルでの登録、それぞれ必要
勘定コード表レベルでの登録、会社コードレベルでの登録、それぞれ必要である。まず、勘定コード表レベルで勘定コードを登録し、全社で使える前提が整う。その後、各社で必要に応じて会社コードレベルでの勘定コードを登録する。これにより、この会社では使うけど、この会社では使わない、を切り分けるようになっている。
たとえば、以下の例では預金勘定「000001(普通預金-XXXX銀行)」について、会社A、会社Cは当銀行を利用し、会社Bは利用しない場合を想定した設定である。
また、それぞれの設定で登録されるデータベースが異なるので、後述のテーブルと一緒に見てもらうと理解がしやすい。
カスタマイズ操作方法
今回は、例として経費勘定の勘定コードを登録する。勘定コードの登録は、次の3ステップで行う。
- 勘定コード表の定義:OB13
- 勘定コード表を会社コードに割当:OB62
- 勘定コードの登録
- 勘定コード表レベル:FSP0
- 会社コードレベル:FSS0
勘定コード表の登録:OB13
- SPRO>財務会計(新規)>総勘定元帳>マスタデータ>G/L勘定>準備>更新: 勘定コード表一覧 を起動する。
- 「新規エントリ」ボタン(もしくは、既存の勘定コード表を選択して「コピー」)から勘定コード表を登録する。
- 勘定コード表の各項目を入力して保存する。
勘定コード表 | JP01(任意) |
テキスト | 勘定コード表 – 日本(任意の名称) |
更新言語 | 「日本語」 |
勘定コードの長さ | 6 |
グループ勘定コード表 | ブランク(グループ企業用の管理項目。今回は不使用。) |
ブロック | OFF |
勘定コード表を会社コードに割当:OB62
次に登録した勘定コード表を会社コードに割り当てる。ちなみに、勘定コード表:会社コード = 1:Nである。
- SPRO>財務会計(新規)>総勘定元帳>マスタデータ>G/L勘定>準備>割当: 会社コード→勘定コード表 を起動する。
- 会社コードに対して、先ほど登録した勘定コード表「JP01」を「勘定Code表」欄に入力し、保存する。
勘定コードの登録
勘定コード表の登録、割当が完了し、ようやく勘定コードが登録できる。勘定コードは、勘定コード表レベルと会社コードレベルでそれぞれトランザクションコードが用意されている。今回は別々に登録するが、まとめて登録する場合はTr-Cd:FS00が使える。
勘定コード表レベル:FSP0
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>総勘定元帳>マスタレコード>G/L勘定>個別処理>勘定コード表 を選択する。
- 「G/L勘定」に勘定コード(例:C00001)、「勘定コード表」に登録した勘定コード表「JP01」を入力し、「登録」ボタンを押下する。
- 「G/L勘定タイプ」にて「一次原価または収益」を選択し、テキスト(例:経費)を入力して「保存」を押下する。
会社コードレベル:FSS0
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>総勘定元帳>マスタレコード>G/L勘定>個別処理>会社コード を選択する。
- 先ほど登録した勘定コード、登録対象の会社コードを入力し「登録」ボタンを押下する。
- 次の各項目を入力し、「保存」ボタンを押下する。
勘定通貨 | JPY |
原価要素タイプ | 01:一次原価/収益削減減価 |
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
---|---|---|
SKA1 | G/L 勘定マスタ | 勘定コード表レベルのデータを保持 |
SKB1 | 勘定コードマスタ (会社コード) | 会社コードレベルのデータを保持 |
SKAT | 勘定コードマスタレコード | 勘定コードのテキスト情報を保持 |
テーブル相関図については、以下を参考。
※参考:テーブル関連図(G/L勘定マスタ) | とくとくSAPコンサル
演習問題
※複数回答の設問あり。
※答えはドラッグすると見れる。
G/L勘定コードについて、特定の会社でのみ利用するG/L勘定コードは、勘定コード表レベルでのマスタ登録は不要である。
A. 正
B. 誤
正解:B
G/L勘定コードの勘定コード表レベルについて、設定する項目は次のどれか。
A. 勘定コード
B. 管理項目
C. 連結項目
D. 通貨項目
正解:ABC
勘定コード表レベルで登録されているG/L勘定コードについて、その勘定を利用しない会社については会社コードレベルでの登録は不要である。
A. 正
B. 誤
正解:A
貸借対照表勘定の残高は、残高繰越により未処分利益勘定に繰越されてゼロになる。
A. 正
B. 誤
正解:B
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