概要
督促処理(督促プログラムともいう)は、得意先に対して督促状を出す機能である。
督促処理は説明すべき内容が多いため、数回に分けて説明する。2回目は、督促処理に関する設定について。
カスタマイズ、トランザクションコード
- FBMP – 督促処理更新
- F150 – 督促処理
- FD02 – 得意先マスタ変更
督促処理
督促処理の設定(FBMP)
督促処理に関する設定は、トランザクションFBMPから行う。各設定のポイントは、以下のとおり。
督促処理 | 督促処理のコード値を定義 支払期日から何日経過すると督促状を送るかを設定 |
督促レベル | 延滞日数に応じてレベル分けできる レベルに応じて金利計算するか設定する |
費用または手数料 | 督促レベルに応じた督促手数料を設定する |
最低額 | 督促状を出す最低額を指定する |
督促テキスト | 督促レベルごとに督促状の内容・文面を定義する |
環境 | その他、細かな設定(督促領域など) ※メニューバーの「環境」から設定する |
次に、各設定における詳細を説明する。
督促処理
督促処理 | 督促処理の設定の単位。 得意先マスタに割当する。 |
督促間隔日数 | 一度督促した得意先に対して再度督促するまでに空ける日数。 得意先ごとに最後に督促した日が保持され、その日から督促間隔日数経つと再度督促処理の対象となる。 |
督促レベル | 督促を何段階に分けて行うか、を設定する。 督促レベルは得意先ごとに管理され、督促の度に1上がる。 督促レベルは、最大9まで設定可能。 |
最低延滞日数 | この日数を超えている明細がひとつでもあれば、得意先に督促する(※) |
明細毎猶予日数 | この日数を超えている明細に対して督促処理を実施する(※) |
督促レベル
督促レベルは、レベルに応じた以下の設定を行う。
延滞日数 | 督促レベルごとの延滞日数を設定。 初期値として、レベル1は明細猶予日数がセットされる。以降、督促間隔日数ごとにレベルが上がる。手入力での日数は変更できる。 |
金利計算 | 金利計算をする場合に、フラグを立てる。 |
常に督促 | 督促レベルがMAXに達した後も、督促状を出し続ける場合にフラグを立てる。 通常は、督促レベルが上がる際に督促状を印刷する。 |
全明細印刷 | フラグを立てると、督促処理対象の明細に加えて、得意先に対するすべての未消込明細が督促状に印刷される。 |
支払期日までの日数 | 督促状を出す際、新たに支払期日を再設定する場合に利用する。この日数が督促処理の発行日に加算され、支払期日が更新される。「入金されていません。○○までに入金してください。」といった催促をする場合に有効。 |
費用または手数料
督促レベルごとに督促手数料を設定する。
督促手数料は、固定金額or督促金額に対する割合(%)で指定する。督促手数料は督促金額ごとに変えることもできる。
最低額
督促レベルごとに督促状出力の最低金額を設定する。期日超過している明細があまりに少額のために、督促対象から除外する場合に利用する。
最低額の設定は2つあり、それぞれ役割が異なる。
- 支払期日超過明細が、督促レベルに達する最低額または割合(%)
- 督促状を出す/出さないを判別するための最低額。固定金額or督促金額に対する割合(%)で指定する。
- 督促レベルごとの金利を計算する際に必要とされる最低額
- 金利計算するための最低金額。督促レベルごとの最小利息額。
督促テキスト
督促状に印刷するテキストを設定する。
環境
督促処理(Tr-Cd:FBMP)のメニューバー>環境で設定する内容について。
会社コードデータ | 督促状を得意先ごとではなく、督促領域ごとに作成する場合に利用する。 たとえば、同じ得意先に部門が複数あり、個別に督促する場合に利用する。 |
督促処理領域 | 前述の通り、督促領域ごとに督促する場合に利用する。 督促領域には、販売組織や利益センタを指定する。会社コード単位で督促する場合、督促処理領域の設定は不要。 |
督促処理キー (督促キー) | 明細に督促キーを割り当てることによって、その明細が一定の督促レベルを超えないようにする。特定の得意先は最大のレベルまではいかないようにする、といった運用に利用する。 |
督促ブロック理由 | 督促ブロック(督促保留)をかけるときの区分値を設定する。 |
カスタマイズ操作方法
新しい督促処理を設定する:FBMP
SPRO>債権管理および債務管理>会計トランザクション>督促処理>督促処理>定義: 督促処理(FBMP)を選択する。
督促処理の登録
SAP標準の督促処理0001をコピーして作成する。
- 「新処理」ボタンをクリックする。
- 以下のデータを入力する。
督促処理 | 1000 |
名称 | 4レベル、週次 |
- メニューバー>督促処理>>コピー を選択する。
- 督促処理に「0001」を入力し、Enterを押下する。
→督促処理1000のデータがセットされる。 - 一般データを要件にあわせて変更する。(以下の項目を変更する)
督促間隔日数 | 7 |
最低延滞日数 | 3 |
特殊仕訳の督促処理 | OFF |
- 保存する。
督促レベルの設定
- 督促処理1000を選択し、「督促処理レベル」ボタンをクリックする。
- 以下のデータを変更する。
設定項目 | 督促レベル1 | 督促レベル2 | 督促レベル3 | 督促レベル4 |
---|---|---|---|---|
延滞日数 | 2 | 9 | 16 | 23 |
常に督促 | ON | |||
全明細印刷 | ON | ON | ||
支払期日までの日数 | 5 |
費用または手数料の設定
- 「手数料」ボタンをクリックする。
- 通貨に「JPY」を入力し、Enterを押下する。
- 以下のデータを入力する。
督促レベル | 督促金額より(開始督促金額) | 督促手数料 |
---|---|---|
1 | 500 | 200 |
2 | 1,000 | 500 |
3 | 2,000 | 1,000 |
最低額の設定
- 「最低額」ボタンをクリックする。
- 通貨に「JPY」を入力し、Enterを押下する。
- 以下のデータを入力する。
督促レベル | 最低額 |
---|---|
1 | 300 |
2 | 500 |
3 | 1,000 |
4 | 2,000 |
督促テキストの設定・環境の設定
- メニューバー>環境>会社コードデータ を選択する。
- 「新規エントリ」ボタンをクリックし、督促レベルON、参照会社コードに「1000」を入力し、保存する。
- 前画面に戻り、「督促テキスト」ボタンをクリックする。
- ポップアップの会社コードに「1000」を入力し、Enterを押下する。
- 督促テキストが表示されることを確認する。
督促処理の割当:FD02
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>債権管理>マスタレコード>変更 を選択する。
- 得意先コード「Customer01」、会社コード「1000」を入力し、Enterを押下する。
- ALVメニューバー>会社コードデータ をクリックする。
- 「連絡文書」タブをクリックし、督促処理に「1000」を入力して保存する。
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
---|---|---|
LFA1 | 仕入先マスタ(一般セクション) | 仕入先マスタの一般データレベルの情報を保持 |
LFB1 | 仕入先マスタ(会社コード) | 仕入先マスタの会社コードレベルの情報を保持 |
LFB5 | 仕入先マスタ(督促処理データ) | 仕入先マスタの督促処理に関するデータを保持 |
KNA1 | 得意先マスタ:一般データ | 得意先マスタの一般データレベルの情報を保持 |
KNB1 | 得意先マスタ(会社コード) | 得意先マスタの会社コードレベルの情報を保持 |
KNB5 | 得意先マスタ(督促処理データ) | 得意先マスタの督促処理に関するデータを保持 |
演習問題
※複数回答の設問あり。
※答えはドラッグすると見れる。
督促処理の設定画面において、設定する内容は次のどれか。
A. 督促レベル
B. 督促期間
C. 督促ブロック理由
D. 督促手数料
正解:ACD
督促処理は、どこに割当するか。
A. 得意先マスタ
B. 仕入先マスタ
C. G/L勘定コードマスタ
D. 会社コード
正解:AB
次の文章について、正誤を答えよ。
督促手数料は、督促レベルごとに指定できる。
A. 正
B. 誤
正解:A
支払期日を過ぎて入金されていない明細に対して、未消込明細の金額が少額の場合は、督促状を出さない。どのように設定するべきか。
A. 未消込明細の金額を目視し、督促保留フラグをセットする
B. 督促の最低額を設定する
C. 督促処理の実行時に、未消込明細の金額を抽出条件(パラメータ)に指定する
D. 追加開発(アドオン)により実現する
正解:B
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