概要
固定資産の取引について。続いては固定資産の除却、売却について解説する。
カスタマイズ、トランザクションコード
- F-92 – 得意先売却
- ABAON – 資産売却(得意先なし)
- ABAVN – 廃棄
- AW01N – 資産エクスプローラ
固定資産の除却、売却
まず、SAPにおける除却、売却の定義を解説しておく。
日本の簿記では、
・除却:有形固定資産を事業の用途から外して帳簿上から除外すること ・売却:その名のとおり資産の売却
となっている。
SAPでは、簿記の除却を「廃棄」として扱っている。また、SAPの除却は、売却と廃棄を含んでいる。
除却:売却 廃棄(簿記でいう除却)
本ページでは、馴染みがあるであろう簿記の言葉に則って「除却(SAPでいう廃棄)」「売却」として記載する。
統合資産の除却と売却
固定資産の除却
基本となる除却のフローは、以下のとおり。
除却のトランザクションコードから、除却対象の資産マスタを指定すると、自動で減価償却累計額と除却損を計上する。
固定資産の売却
基本となる売却のフローは、以下のとおり。
売却では、決済勘定(収入決済/固定資産売却収入)が存在する。日本では不要なことが多いので、両方を「固定資産売却収入」としてレポートに影響しない形にすることが多い。
債権(AR)と統合した売却の伝票入力
債権と連携している場合は、トランザクション:F-92「得意先への売却」から資産の売却を登録する。たとえば、機械を未払金で購入した場合の伝票入力は以下のとおり。
このとき、得意先請求書と同様、未収入金勘定を直接入力するのではなく、得意先コードを入力する。また、売上側については、売上勘定の明細に資産マスタを入力するのだが、資産除却フラグをONにした後に表示されるポップアップに入力する。
また、一部売却をする場合は、資産除却フラグをONした後のポップアップで売却する金額や割合を入力する。
カスタマイズ操作方法
今回は、取得から2年経過した資産の除却、売却、一部売却を実施する。資産の取引と同時に、2年分の減価償却累計額も精算されている点に注目して実施すること。
- 固定資産の除却(廃棄)
- 債権(AR)のある統合資産を売却
- 債権(AR)のある統合資産を売却(一部売却)
固定資産の除却(廃棄)
除却を転記する:ABAVN
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>固定資産管理>記帳>除却>廃棄(Tr-Cd:ABAVN)を起動する。
- 以下のデータを入力し、転記(保存)する。
資産番号 | (「PC-001」の資産番号) |
伝票日付 | 2002/03/31 |
資産評価日 | 2002/03/31 |
転記日付 | 2002/03/31 |
伝票、資産の確認
- 先程登録した伝票を伝票照会(Tr-Cd:FB03)などで照会する。
→固定資産除却損の勘定で計上されていることを確認する。減価償却累計額が計上されていることを確認する。 - SAPメニュー>会計管理>財務会計>固定資産管理>資産>資産エクスプローラ(Tr-Cd:AW01N)を起動し、「PC-001」の資産番号を入力して、Enterを押下する。
→2001年度の取得価額(変更)が-10,000となっていることを確認する。 - メニューバー>ジャンプ>マスタデータ照会 をクリックする。
→資産マスタ画面で、資産が無効になっていることを確認する。
債権(AR)のある統合資産を売却
売却を転記する:F-92
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>固定資産管理>記帳>除却>売却額のある除却>得意先売却(Tr-Cd:F-92)を選択する。
- 以下のデータを入力し、Enterを押下する。
伝票日付 | 2002/03/31 |
転記日付 | 2002/03/31 |
タイプ | [DR]得意先請求 |
会社コード | 1000 |
通貨/レート | JPY |
転記キー | [01]請求書 |
勘定 | Customer01 |
- 第1明細画面で、以下のデータを入力しEnterを押下する。
金額 | 9,000 |
税額計算 | ON |
税コード | (任意 ※本演習では10%とする) |
転記キー | [50]貸方入力 |
勘定 | [R10011]固定資産売却収入 |
- 第2明細画面で、金額に「*」を入力しEnterを押下する。
- 以下のデータを入力し、Enterを押下する。
資産 | (「PC-002」の資産番号) |
資産評価日 | 2002/03/31 |
完全除却 | ON |
伝票、資産の確認
- 先程登録した伝票を伝票照会(Tr-Cd:FB03)などで照会する。
→固定資産売却損益の勘定で計上されていることを確認する。減価償却累計額が計上されていることを確認する。
※10-2.固定資産-資産クラス-のとりに設定していると、決済勘定が「[R10011]固定資産売却収入」となり、貸借で相殺される形となる。 - SAPメニュー>会計管理>財務会計>固定資産管理>資産>資産エクスプローラ(Tr-Cd:AW01N)を起動し、「PC-002」の資産番号を入力して、Enterを押下する。
→2001年度の取得価額(変更)が-10,000となっていることを確認する。 - メニューバー>ジャンプ>マスタデータ照会 をクリックする。
→資産マスタ画面で、資産が無効になっていることを確認する。
債権(AR)のある統合資産を売却(一部売却)
売却を転記する:F-92
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>固定資産管理>記帳>除却>売却額のある除却>得意先売却(Tr-Cd:F-92)を選択する。
- 以下のデータを入力し、Enterを押下する。
伝票日付 | 2002/03/31 |
転記日付 | 2002/03/31 |
タイプ | [DR]得意先請求 |
会社コード | 1000 |
通貨/レート | JPY |
転記キー | [01]請求書 |
勘定 | Customer01 |
- 第1明細画面で、以下のデータを入力しEnterを押下する。
金額 | 5,000 |
税額計算 | ON |
税コード | (任意 ※本演習では10%とする) |
転記キー | [50]貸方入力 |
勘定 | [R10011]固定資産売却収入 |
- 第2明細画面で、金額に「*」を入力しEnterを押下する。
- 以下のデータを入力し、Enterを押下する。
資産 | (「PC-003」の資産番号) |
資産評価日 | 2002/03/31 |
完全除却 | OFF |
パーセント | 60 |
伝票、資産の確認
- 先程登録した伝票を伝票照会(Tr-Cd:FB03)などで照会する。
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>固定資産管理>資産>資産エクスプローラ(Tr-Cd:AW01N)を起動し、「PC-003」の資産番号を入力して、Enterを押下する。
→2001年度の取得価額(変更)が-6,000となっていることを確認する。 - メニューバー>ジャンプ>マスタデータ照会 をクリックする。
→資産マスタ画面で、資産が無効になっていないことを確認する。
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
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