【認定試験対策】財務会計(FI)9-4.決算処理、財務諸表バージョン

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概要

決算におけるSAPでの処理について解説する。

また、SAPで出力する財務諸表、およびその設定となる財務諸表バージョンについて解説する。

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カスタマイズ、トランザクションコード

  • S_ALR_87012284 – 財務諸表

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決算処理

FIの話なので、経理業務を前提に話をするが、企業では各月に月次決算、年度末には年次決算を行う。細かい業務の話は割愛するが、要は各月、年度のまとめを行う。たとえば、未処理だった経費を精算したり、各月の損益を確定させたりする。

SAPでも、そのような業務に応じて様々な処理が必要になる。各月の決算処理を月次決算処理(年12回)、年度末の決算処理を年次決算処理(年1回)と呼ぶ。

  • 月次決算処理:各会計期間で発生した金額を確定するための処理
  • 年次決算処理:月次決算処理 + α(※α:財務諸表を出力するための処理)

月次決算処理

SAPで実施する月次決算処理の一部を紹介する。流し読みで構わない。
※締める月を「当月」、その翌月を「翌月」と記載する。

  • 翌月の会計期間をオープンする。当月の会計期間をクローズする。
  • 債権管理で見越/繰延の入力、貸倒費用の入力をする。
  • 外貨での未消込明細を評価する。
  • (MMでは、)入庫/請求仮勘定を更新し、品目再評価を転記する。
  • etc…

年次決算処理

SAPで実施する年次決算処理の一部を紹介する。流し読みで構わない。
※月次処理でも行うものは省き、年次のみ行うもののみ記載。

  • 翌月(翌年度)の会計期間をオープンする。当月(当年度)の会計期間をクローズする。
  • 残高繰越を実施する。
  • etc…

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財務諸表

財務諸表レポート

SAPでは、財務諸表を登録するための標準レポート(プログラムID:RFBILAOO、Tr-Cd:S_ALR_87012284)が用意されている。

この財務諸表のレイアウトを決めているのが、財務諸表バージョンである。

図は、貸借対照表だが損益計算書も出力できる。

財務諸表バージョン

財務諸表バージョンは、財務諸表を出力する際のレイアウト(科目の並び順、名称など)を決めている。一応、日本用のサンプルレイアウト:BAJP、FSJPが用意されている。

  1. レポートの出力条件を使用することで、事業領域ごとの財務諸表を出力することが可能。他にも会社コード、セグメント、利益センタなどの切り口で出力することもできる
  2. 階層レベルは最大20まで:「資産>流動資産>…」と階層化できるのは、最大20まで。
  3. 明細の前後に、任意のテキスト(4行分まで)が記述できる
  4. 同じ科目でも借方/貸方のどちらに残高があるかで、財務諸表の出力場所を変えられる。(残高に基づく勘定グループ割当という)

合計値の算出について

財務諸表バージョンの合計値の設定が、画面を見ただけでは分かりづらいので解説する。「合計表示」の項目が2つあるが、上の項目は明細内の合計値を算出するもの、下の項目は前の合計値と明細内の合計値を足したものである。下の項目は営業利益(売上総利益 – 営業内費用)の算出などに利用する。

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カスタマイズ操作方法

新しく財務諸表バージョンを登録し、登録した財務諸表バージョンでレポートを出力する。

  1. 財務諸表バージョンの登録
    1. 財務諸表バージョンの新規登録(既存の財務諸表バージョンをコピーして作成する)
    2. 未割当のG/L勘定コードの確認
    3. 財務諸表バージョンの明細登録(旅費を追加で表示するように設定する)
    4. 財務諸表バージョンの勘定割当(旅費を追加で表示するように設定する)
    5. 明細の移動(追加した旅費の表示順序を調整する)
  2. 登録した財務諸表バージョンでレポートを出力する

財務諸表バージョンの登録

財務諸表バージョンの新規登録
  1. SPRO>財務会計>総勘定元帳>定期処理>伝票>定義: 財務諸表バージョン を起動する。
  2. 財務諸表バージョン「BAJP」を選択する。
  3. メニューバー>編集>別名コピー をクリックする。
  4. 財務諸表バージョンに「1000」、名称(任意)、勘定コード表に「1000」を入力して、保存する。
  5. 登録した財務諸表バージョン「1000」をダブルクリックし、言語がJA[日本語]になっていることを確認する。(日本語でない場合は、日本語に変更する。)

未割当のG/L勘定コードの確認

勘定コード表と会社コードで使用するすべてのG/L勘定コードが、財務諸表バージョンに割当されているか確認する。

  1. 引き続き、財務諸表バージョンのカスタマイズ画面で登録した財務諸表バージョンをダブルクリックする。
  2. 「B/S P/L項目」ボタン、もしくは Shift + F8 を押下する。
    ※SAPのバージョンによっては、「連結勘定科目」と表記されている。
  3. メニューバー>構造>チェック を選択する。
  4. 会社コード「1000」を入力し、「未割当の勘定コード区分」のみONにして実行する。
    →割当されていないG/L勘定コードが表示される。
  5. Enterを押下し、ポップアップを閉じる。

財務諸表バージョンの明細登録

今回は、販管費の並びに旅費を追加する。まずは、旅費の階層を追加し、その後勘定の割当、表示位置の調整を行う。

  1. 引き続き、財務諸表バージョンのカスタマイズ画面でツリーを展開する。
    50000000[損益計算の部]>営業利益/営業損失>販管費および一般管理費 を選択(クリック)する。
  2. 「明細登録」ボタンをクリックする。
  3. 52100000[販管費および一般管理費]の配下に、52190000[旅費]を追加する。

財務諸表バージョンの勘定割当
  1. 引き続き、財務諸表バージョンのカスタマイズ画面で、登録した「52190000[旅費]」を選択(クリック)する。
  2. 「勘定割当」ボタン、もしくはダブルクリックする。
  3. 以下のデータ入力し、Enterを押下する。
開始勘定旅費のG/L勘定コードを入力
※G/L勘定コードが未登録の場合、2-1.G/L勘定(総勘定元帳勘定)を参考に登録
D(借方)ON
C(貸方)ON

明細の移動

追加した旅費を「その他」の下に移動する。

  1. 引き続き、財務諸表バージョンのカスタマイズ画面で、登録した「52190000[旅費]」を選択(クリック)する。
  2. メニューバー>編集>+/- 選択 をクリックする。
    →「52190000[旅費]」が黄色くハイライトされる。
  3. 「52180000[その他]」を選択(クリック)し、メニューバー>編集>再割当 をクリックする。
    →ポップアップが表示される。
  4. 「同一レベル」をONにし、Enterを押下する。
    →「52180000[その他]」の下に「52190000[旅費]」が移動する。
  5. 保存する。

登録した財務諸表バージョンでレポートを出力する

  1. SAPメニュー>会計管理>財務会計>総勘定元帳>情報管理>総勘定元帳レポート>財務諸表/キャッシュフロー>一般>実績/実績比較>財務諸表(Tr-Cd:S_ALR_87012284)を起動する。
  2. 以下のデータを入力して、実行する。
通貨タイプ10
会社コード1000
財務諸表バージョン1000
元帳0L
レポート年度2020
レポート期間開始01
レポート期間終了12
比較年度2019
比較期間開始01
比較期間終了12
出力タイプ従来形式による一覧

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テーブル

テーブルID内容説明備考
T011財務諸表バージョン財務諸表バージョンのデータを保持
T854連結勘定科目番号明細(階層)のデータを保持
T854S連結勘定科目定義明細の中身のG/L勘定コード

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演習問題

※複数回答の設問あり。
※答えはドラッグすると見れる。

SAP標準の財務諸表の出力は、どのレベルで行うことができるか。

A. クライアントレベル
B. 事業領域レベル
C. 会社コードレベル
D. 利益センタレベル

正解:BCD

財務諸表バージョンの階層は、最大何レベルまで設定できるか。

A. 10
B. 20
C. 99
D. 100

正解:B

財務諸表のレポートにおいて、勘定の残高によって表示位置を代えたい。どのように財務諸表バージョンを設定すべきか。

A. G/L勘定コードの割当で、「+」で合計するか「-」で合計するか設定する
B. 借方表示する位置にG/L勘定コードの割当で、D(借方)のみONにする
C. 貸方表示する位置にG/L勘定コードの割当で、C(貸方)のみONにする
D. 借方貸方に関係なくG/L勘定コードの割当で、D(借方)、C(貸方)両方ONにする

正解:BC

次の文章について、正誤を答えよ。

SAP標準の財務諸表レポートを利用して、損益計算書を出力したい。財務諸表バージョンの設定で、「合計表示」をONにすると合計値が算出できる。

A. 正
B. 誤

正解:A

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