概要
品目構成ありの原価積上処理について解説する。
カスタマイズ、トランザクションコード
- CK11N – 品目原価見積 (数量構成あり) 登録
- CK13N – 品目原価見積 (数量構成あり) 照会
- CK40N – 原価積上実行編集
- CK44 – 原価積上実行削除
- CKR1 – 品目原価見積削除
- S_ALR_87099930 – 原価積上実行結果
- MM03 – 品目マスタ 照会
- MMRV – 前会計期間転記可能
- MMPV – 会計期間締め: 品目マスタレコード
原価積上実行(CK40N)
品目構成ありの原価積上は、Tr-Cd:CK40Nで実行する。これは複数の品目やプラントをまとめて実行する機能である。特定の品目だけ積上する場合は、CK11Nを利用する。本記事では、CK40Nを前提に解説する。
原価積上実行画面ヘッダ
ヘッダでは、原価積上におけるキー情報を入力する。実行IDと呼ばれることも多い。
項目 | 備考 |
---|---|
原価積上実行 | 原価積上のID。 |
テキスト | 任意のテキストを入力する。 |
原価積上実行日付 | 原価積上を実施する日付。システム的には実行IDとあわせてキーになっている。 その他の制御は特にかかっていない。 |
パラメータ
「原価計算データ」タブ
項目 | 備考 |
---|---|
原価計算バリアント | 原価計算に必要な情報をまとめたもの。 加工員の賃率はどの情報を利用するか、 部品の構成や価格はどの情報を利用するか、などを制御。 ※参照:6-2.原価計算バリアント |
原価計算バージョン | 原価計算におけるバージョン。 同一品目に対して複数の原価計算結果を保持する場合、 バージョンごとにデータ保持、分析することが可能。 |
管理領域 | |
会社コード | |
転送管理 | 既に計算した品目の積上結果を利用するかの設定 |
サーバグループ |
「日付」タブ
日付項目は、先程の原価計算バリアントの日付管理に設定した日付から自動誘導される。原価積上実行画面で上書きすることが可能。
項目 | 備考 |
---|---|
原価計算開始日 | 積上した原価を使用開始する日付。ただし、利用可否は月単位で決まる。 積上結果をリリースするには、現在日以降の日付を指定しなければならない。 |
原価計算終了日 | 差異計算を可能な日付。 基本「9999/12/31」固定。 |
数量構成日付 | BOM、作業手順を取得する日付。 |
評価日 | 購買情報マスタ、活動価格を取得する日付。 |
積上実行
原価積上実行画面の下部には、積上実行エリアがあり、ここで実際の処理を行う。
ステップ | パラメータ | 実行 | ログ | ステータス | 品目 | エラー |
---|---|---|---|---|---|---|
選択 | 🐟 | 🕛 | 📝 | ■(正常終了) | 2 | 0 |
原価計算 | 🐟 | 🕛 | 📝 | ●(エラー有り) | 2 | 2 |
分析 | 🐟 | 🕛 | ||||
マーク | 🐟 | 🕛 | ||||
リリース | 🐟 | 🕛 |
積上は、上から順に 選択→原価計算→分析→マーク→リリース で処理する。各ステップで「パラメータ」を実施すると「実行ボタン🕛」が押せるようになり、「実行ボタン🕛」で処理を実施する。処理が終わるとステータス(エラー有り/無し)や対象品目、エラー件数が照会できる。
各ステップでパラメータを指定できる(処理対象の品目やプラントを指定できる)が、基本的に最初の選択ステップでしか指定しない。後続の処理は前段の結果に対して処理するため、選択ステップで対象を絞っておけば、後は絞ったもののみ処理される。
選択
原価積上の対象品目を指定する。指定方法は品目だけでなく、プラント、品目タイプなどの項目も利用可能。
また「選択一覧」という、事前に特定の条件を満たす品目を抽出しておき、その品目を対象にするということも可能。
原価計算
選択で抽出した品目に対して、原価積上を実施する。積上が終わると、Tr-Cd:CK13Nから積上結果が照会できるようになる。
分析
分析結果を確認する。正直やることはほとんどないが、実施しないと次に進めないので実施する程度。
マーク
積上結果を、品目マスタ>原価計算2ビューの将来の標準原価にセットする。
将来の標準原価、現在の標準原価について
今年年の標準原価、来年の標準原価、、、と標準原価は一度計算したものを永遠に使い続けるわけではなく、定期的に更新していくものである。そのため、標準原価を期間管理できるようなっている。来年の標準原価を「将来の標準原価」として管理している。
ただし、マークを実施するには、事前にマーク許可が必要になる。処理自体は簡単でマークステップの横にある鍵マークのボタンを押下し、会社コード×評価ビューごとに許可するだけである。
リリース
積上結果を、品目マスタ>原価計算2ビューの現在の標準原価にセットする。また、会計1ビューの「標準原価」にも同じ値がセットされる。リリースが終わると各取引で標準原価が利用される。例えば、商品を出荷した際、売上原価として標準原価の金額が利用される。
なお、リリース実行の前に、品目の会計期間をリリースする会計期間に合わせる必要がある。品目の会計期間とは、FI伝票の会計期間と同じように品目データを転記できる期間を制御している。
前会計期間転記可能(Tr-Cd:MMRV)にて転記可能な会計期間を確認できる。品目の会計期間を更新する場合は、会計期間締め: 品目マスタレコード(Tr-Cd:MMPV)にて実施する。
積上結果の照会
原価積上の結果は、Tr-Cd:CK13N、S_ALR_87099930で照会できる。
また、品目マスタ(MM03)からも照会できる。原価計算2ビューの「将来」または「現在」ボタンから該当品目の積上結果を照会できる。
※原価積上の結果照会については、6-10.品目マスタ/原価積上結果照会を参照。
原価積上の削除
一度積上した結果、かつマークorリリースした積上結果を削除する場合、品目原価見積削除(Tr-Cd:CKR1)から削除できる。削除は品目単位でも、プラント単位でも可能。
カスタマイズ操作方法
※今回はなし
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
---|---|---|
KALA | 原価計算実行: 一般データ/パラメータ | 原価積上実行の基本的なデータを保持。原価計算バリアントや日付項目などのパラメータを保持。 |
KALM | 原価計算実行: 原価計算対象 | 原価計算の各ステップで処理された対象の品目を保持する。原価積上番号(KALNR)は、品目×プラントごとに振られた内部的な項目。テーブル検索の条件に使いやすい。 |
KALS | 原価積上実行: 原価計算レベル | 原価計算において、BOM構造を展開した結果。「原価計算レベル」に展開した際の階層レベルが入力されている。 ※参考:原価計算レベル |
KALSTAT | 原価積上実行: 個別ステップのための統計情報 | 上記、KALSをステップごと(選択、原価計算、マーク、など)にしたもの。KALSよりも使いやすい。 |
KALF | 原価積上実行: エラーログヘッダ | 原価積上で発生するエラー情報のヘッダ。項目「番号(CMF_NR)」をCMFPに紐づけ、エラー情報を取得する。 |
CMFP | 収集エラーの保存構造 | 原価積上で発生するエラー情報の詳細。上記、KALFで取得した「番号(CMF_NR)」をキーに、エラー管理(APLID)=[CK]品目原価見積、メッセージタイプ(MSGTY)=[E]エラーなどで検索する。 メッセージ(MSGNR)に画面上に表示されるエラー番号(060など)、対象(OBJECT)に品目情報などを保持。 |
KEKO | 原価積上 – ヘッダデータ | 品目ごとの原価積上の基本情報を保持。品目ごとにどのBOMや作業手順で積上されたかがわかる。 |
CKIS | 個別計画: 明細/原価積上: 明細化 | 積上の具体的な金額データ。構成部品ごとにレコードが用意されているイメージ。上記、KEKOから原価見積番号で紐付けし、原価計算日付、原価計算バージョンをキーにデータ取得すると良い。 |
KEPH | 原価積上: 製造原価の原価構成 | 原価構成ビューで照会した際に表示する金額を保持。 |
※品目マスタに割当されている原価積上実行IDは、品目マスタ>原価計算2ビュー>現在>「履歴」タブの「原価積上実行」と「原価積上実行日」から確認できる。
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