【認定試験対策】財務会計(FI)7-3.自動支払-自動支払処理の実行

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概要

自動支払処理について解説する。機能についての説明が多いため、数回に分けて説明する。3回目は、いよいよ自動支払処理の実行にについて。

実際に実機を触った方がわかりやすいので、ざっと説明に目を通し、後は実機ベースで理解することをオススメする。

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カスタマイズ、トランザクションコード

  • FBZP – 支払プログラム更新
  • F110 – 自動支払処理
  • F110S – 支払処理自動スケジュール

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自動支払処理の実行

初回にも簡単に触れているが、自動支払は以下の流れで実行する。

1パラメータ入力自動支払の対象伝票の抽出条件を指定する
2提案実行自動支払の対象伝票の抽出処理
3借方残高チェック(任意)借方残高の勘定への支払を除外する場合に利用する
4提案編集(任意)借方残高の勘定への支払を明細ごとに除外する場合に利用する
5支払処理支払伝票の登録(例:買掛金 / 銀行仮勘定)
6印刷実行支払伝票の登録(例:銀行仮勘定 / 預金)

それぞれの処理や操作について、具体的に見ていこう。

パラメータ入力

自動支払の対象となる伝票の条件を指定する。また、支払の転記日付も指定する。

処理対象となる伝票の抽出について、具体的には以下を指定する。

  • 伝票最終入力日:いつまでに登録された伝票を対象とするか
  • 会社コード:どの会社コードの取引か
  • 支払方法:どの支払方法か
  • 次支払日:支払期日がいつまでの伝票を対象とするか
  • 仕入先コード:対象の仕入先
  • 得意先コード:対象の得意先

また、上記以外にも伝票番号など、任意項目での絞り込みも可能。(自動支払の「自由選択」画面から指定する。)

提案実行

パラメータで入力した条件、マスタの設定、その他システムの設定をもとに、自動支払の対象伝票を抽出する。

提案実行が終わると、抽出された明細が提案一覧に表示される。また、エラーとなった明細については、例外として表示される。

例外となる理由としては、以下が考えられる。

  • 請求書が支払保留に設定されている
  • マスタデータに不備がある
  • 支払方法が不足している
  • 取引銀行に不備がある
  • 支払額が支払最低額に満たない
  • 設定された取引銀行に十分な資金がない
  • 借方残高である

支払保留について

支払保留とは、その名の通り債務の支払、債権の回収を止めておく機能。伝票の起票者と承認者が別れており、起票者が伝票登録した際は支払(回収)せず、承認者が承認した際に支払(回収)するといった運用で利用される。

このフラグが立っていると、自動支払の対象から除外される。(設定によっては)支払処理中に支払保留を解除することができる。

支払保留フラグが立つパターンは、以下のとおり。

  • 請求書照合の処理で何かしらのエラーが発生した
  • 仕入先マスタに支払保留フラグを設定している
  • 仕入先請求書の入力時に、支払保留フラグを設定した
  • 自動支払の提案編集で、支払保留フラグを設定した

借方残高チェック(任意)

借方残高の仕入先への支払を除外する場合に利用する。仕入先ごとの残高をチェックし、借方残高となっている場合、支払保留をセットする。

たとえば、以下のように購入後の返品処理を行うと、借方残高になりえる。

商品の購入、その後に支払。
 商品 1,200 / 買掛金 1,200
 買掛金 1,200 / 預金 1,200

その後、商品を返品(クレジットメモ)。
 買掛金 1,200 / 商品 1,200

別の商品を購入。
 商品 1,000 / 買掛金 1,000

【仕入先の残高】
 クレジットメモ 1,200 / 商品 1,000

このような場合に、仕入先に対して支払保留をかける方法が借方残高チェックである。

提案編集(任意)

借方残高の仕入先への支払を明細ごとに除外する場合に利用する。

借方残高チェックを実行すると、借方残高のある仕入先明細はすべて保留され、実際の支払処理には含まれない。明細ごとに、支払する/しないを切り分ける場合に利用する。

先程の例を用いると、2つの買掛金明細(返品の1,200円と、新たに購入した1,000)両方に支払保留がかかるが、このうち新規購入の買掛金1,000円のみ支払する場合に利用する。新規購入の買掛金1,000円に対して、手入力で支払保留を解除する。

支払処理

支払伝票(例:買掛金 / 銀行仮勘定)を登録する処理。マニュアルでの消込転記と同様、税、現金割引、為替レート差損益などの自動転記も行う。

銀行仮勘定について

まだ銀行から出金されていないため、「銀行仮勘定」という勘定を使って預金の引き落としを仮置きしておく。

印刷実行

支払伝票(例:銀行仮勘定 / 預金)を登録する処理。支払媒体、支払明細通知書、および支払概要を印刷管理に転送する。

SAP上は、印刷計画を実行した時点で銀行から出金したとみなし、上記のような仕訳の会計伝票を計上する。

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カスタマイズ操作方法

過去2回に渡って準備してきた内容をもとに、支払処理を実施する。

今回は、月次の支払処理を想定し、以下の前提で支払を実施する。

前提条件・要件
  • 支払サイト:月末締め、翌月20日払い
  • 各月の伝票入力締めは翌月5日(4/1~4/30に取引した伝票は5/5まで入力)
  • 仕入先1「Vender01」貸方残高のみ ※伝票は登録済みの前提
  • 【Advanced】仕入先2「Vender02」借方残高あり ※伝票は登録済みの前提

※【Advanced】の項目については、借方残高チェックの実施に利用する。借方残高チェックを実施しない場合は、読み飛ばして構わない。

事前確認

まず、仕入先マスタに支払保留のフラグが立っていないことを確認する。

  1. SAPメニュー>会計管理>財務会計>債務管理>マスタレコード>変更(FK02)を選択する。
  2. 仕入先「Vender01」、会社コード「1000」の会社コードデータ>支払処理を照会する。
  3. 支払保留が「支払可能」となっていることを確認する。
  4. 仕入先「Vender02」についても同様に確認する。

次に、支払対象となる債務明細があることを確認する。

  1. SAPメニュー>会計管理>財務会計>債務管理>勘定コード>明細照会(FBL1N)を選択する。
  2. 仕入先「Vender01」、会社コード「1000」、未消込明細ON、基準日の未消込明細「2020/4/30」を入力して、実行する。
  3. 未消込明細が存在することを確認する。
  4. 仕入先「Vender02」についても同様に確認する。また、Vender02については、借方残高となっていることを確認する。

未消込明細がない場合は、3-5.会計伝票の登録を参照に伝票登録すること。

パラメータ入力:F110

前提条件の支払サイトに沿って、2020/4/1~4/30に転記された債務の支払を実施しよう。そのため、転記日付は2020/5/20、次支払日は2020/6/20となる。

  1. SAPメニュー>会計管理>財務会計>債務管理>定期処理>支払(F110)を選択する。
  2. 実行日付に処理日、IDに任意の値を入力し、Enterを押下する。
  3. パラメータタブをクリックして以下のデータを入力し、保存する。
転記日付2020/5/20
伝票最終入力日2020/5/5
会社コード1000
支払方法S
次支払日2020/6/20
仕入先Vender01、Vender02
「伝票最終入力日」と「次支払日」の入力について

入力する日付がわかりにくい次の2項目について説明する。

  • 伝票最終入力日:処理対象の伝票入力の締日を入力する
  • 次支払日:次回の支払する日付を入力する

以下の例で理解しよう。

【例】

  • 月末締め、翌月20日払い
  • 4/1~4/30に取引した伝票は5/5まで入力する

このとき、4月分の債務を支払する場合、各項目は次のとおりに入力する。

伝票最終入力日5/5伝票入力の締日「5/5」を処理対象とする
次支払日6/20次回の支払日「6/20」までに支払期日が
到来するものを処理対象とする
転記日付5/20支払日となる「5/20」を入力

提案実行

  1. ステータスタブをクリックし、「提案」ボタンをクリックする。
  2. 「即時開始」をONにして、Enterを押下する。
  3. 「提案照会」をクリックし、抽出された伝票を確認する。
    1. Vender01について、支払可能(緑のステータス)で表示されていることを確認する。
    2. Vender02について、支払可能(緑のステータス)と例外(赤のステータス)両方表示されていることを確認する。
      ※借方明細が例外ステータスで表示される。

借方残高チェック

Vender02を利用している場合のみ必須。借方残高となっているVender02に対して、支払保留をかける。

  1. メニューバー>編集>提案>借方残高チェック>実行を選択する。
  2. 一覧バリアントのポップアップ画面が表示され、プログラムに「RFF110SSP」と表示されていることを確認し、Enterを押下する。
  3. 支払提案後の残高チェック 画面が表示され、支払保留に「A(支払保留)」を入力し、実行する。
  4. 借方残高となっているVender02の明細が、保留された対象として処理結果に表示される。
  5. 「提案照会」をクリックし、Vender02の未消込明細すべてに支払保留フラグが立っていることを確認する。

提案編集

Vender02を利用している場合のみ必須。貸方明細について支払保留を解除し、支払対象とする。

  1. ALVメニューバー>「提案編集」ボタンをクリックする。
  2. 全記帳担当者を選択し、Enterを押下する。
  3. 仕入先Vender02の例外行をクリックする。
  4. さらに、例外明細をクリックする。
  5. ポップアップで表示された画面で、支払保留の「A」を削除して、Enterを押下する。
  6. 保存する。

支払処理

まずは、支払処理を実施する。

  1. ALVメニューバー>「支払処理」をクリックする。
  2. 即時開始をONにして、Enterを押下する。
  3. ALVメニューバー>編集>支払>照会 を選択する。
  4. Vender01をダブルクリックする。
    支払済明細に、支払対象とした伝票が一覧に表示されていることを確認する。

続いて消込された明細、支払処理で転記された伝票を確認する。

  1. 支払済明細の伝票を伝票照会(FB03)で確認し、債務明細(買掛金など)をダブルクリックする。
  2. 「消込日付」の消込伝票番号が入っていること(=消込されていること)を確認する。
  3. 消込伝票番号をダブルクリックし、支払伝票(債務/銀行仮勘定)が転記されていることを確認する。

※Vender02についても、同様に確認する。

印刷実行

まずは、印刷計画を実行する。

  1. ALVメニューバーの「印刷」ボタンをクリックする。
  2. 即時開始をONにして、Enterを押下する。

続いて印刷実行で転記された伝票を確認する。

  1. 先ほどの支払処理で転記された伝票(債務/銀行仮勘定)を伝票照会(FB03)で照会し、銀行仮勘定の明細をダブルクリックする。
  2. 「消込日付」の消込伝票番号が入っていること(=消込されていること)を確認する。
  3. 消込伝票番号をダブルクリックし、支払伝票(銀行仮勘定/銀行勘定)が転記されていることを確認する。

※Vender02についても、同様に確認する。

この演習では必要ないが、支払媒体を用いた印刷計画の実施方法について、記載しておく。

  1. メニューバー>システム>サービス>レポートを選択する。
  2. プログラムに「RFFOD__S」を入力し、実行する。
    ※「_(アンダースコア)」は2つ入力する
  3. 国際支払媒体 画面で、以下のデータを入力して保存(バリアント保存)する。
支払会社コード1000
センダ会社コード1000
支払方法S
小切手印刷ON
支払明細通知書の印刷ON
支払概要印刷ON
プリンタ(3箇所すべて)LP01
受取人言語でのテキストON
  1. 自動支払処理(F110)の「プリント/データ媒体」タブを選択する。
  2. プログラム「RFFOD__S」のバリアントに、登録したバリアントを入力して保存する。
  3. ALVメニューバー>「印刷」をクリックする。
  4. 即時開始をONにして、Enterを押下する。
  5. メニューバー>システム>自分のスプール依頼 を選択する。
  6. メニューバー>依頼照会>内容 を選択して、書式を確認する。

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テーブル

テーブルID内容説明備考
T001会社コード
BNKA銀行マスタ
KNBK銀行口座情報
LFA1仕入先マスタ(一般セクション)仕入先マスタの一般データレベルの情報を保持
LFB1仕入先マスタ(会社コード)仕入先マスタの会社コードレベルの情報を保持
T042支払取引パラメータ
T042Z自動支払の支払方法

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演習問題

※複数回答の設問あり。
※答えはドラッグすると見れる。

次のうち、支払処理プログラムの支払提案処理に影響する項目はどれか。

A. 支払処理プログラムに入力したパラメータ
B. 仕入先マスタデータ
C. 仕入先請求書の支払保留フラグ
D. 仕入先請求書の伝票番号
E. 仕入先請求書の転記日付

正解:ABCDE

D.仕入先請求書の伝票番号は、自動支払のパラメータ「自由選択」タブにて抽出条件に指定できる。

次のうち、支払処理の対象とならない理由として考えられるものはどれか。

A. 仕入先請求書に支払保留フラグがセットされている
B. 取引銀行データに不備がある
C. 現金割引の期限を過ぎている
D. 支払額が支払最低額に満たない

正解:ABD

次の文章について、正誤を答えよ。

支払提案後、提案編集にて支払保留フラグをセットできる。

A. 正
B. 誤

正解:A

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