概要
反対仕訳伝票について解説する。
カスタマイズ、トランザクションコード
- FAGLB03 – G/L勘定残高照会
- FB03 – 伝票照会
- FB08 – 伝票の反対仕訳
反対仕訳
反対仕訳とは、誤った会計伝票を登録してしまった場合に、間違いを正す方法である。たとえば、本来は2500円と入力するところを2050円と入力した際などに利用する。誤った伝票を取り消し(物理削除)するのではなく、訂正用の仕訳を追加登録する形で対応する。
反対仕訳転記とマイナス転記
反対仕訳の登録方法は、2通りある。SAP標準で用意されている反対仕訳転記と、追加設定が必要なマイナス転記である。
上記、図のとおりSAP標準の反対仕訳は、貸借入れ替えた仕訳を登録する。マイナス転記は、貸借は元の伝票と同じで金額にマイナスをかけて登録する。
マイナス転記が登録できる条件
マイナス転記を利用する場合、次の条件を満たす必要がある。後のカスタマイズ操作方法と合わせて確認してほしい。
- 会社コードに対して、マイナス転記が許可されていること
- 伝票登録時の反対仕訳理由に対して、マイナス転記が許可されていること
カスタマイズ操作方法
今回は、マイナス転記を利用して反対仕訳を登録する。なお、標準の反対仕訳についても操作手順は同じである。ただ伝票登録時に、反対仕訳理由をマイナス転記フラグがOFFになっているものを使用すればよい。
会社コードでマイナス転記を許可する
- SPRO>財務会計>総勘定元帳>取引>調整転記/反対仕訳>許可: マイナス転記 を選択する。
- 対象の会社コードに対して、マイナス転記可をONにする。
- 保存する。
反対仕訳理由の確認、マイナス転記用の反対仕訳理由を登録する
- SPRO>財務会計>総勘定元帳>取引>調整転記/反対仕訳>定義: 反対仕訳理由 を選択する。
- 反対仕訳理由の一覧が表示される。
この反対仕訳理由に対して、「マイナス転記(Neg 転記)」がONになっている場合、マイナス転記が許可されている。 - 「新規エントリ」ボタンを押下し、マイナス転記用の反対仕訳理由を登録する。
反対仕訳理由 | Z1 |
テキスト | 誤入力の取消仕訳 ※任意 |
マイナス転記(Neg 転記) | ON |
- 保存する。
反対仕訳伝票を登録する:FB08
この演習では、財務会計(FI)3-5.会計伝票の登録で登録した「経費/現金」の仕訳に対して、反対仕訳を登録する。
まず、反対仕訳を登録する前の現金勘定残高を確認する。
- 会計管理>財務会計>総勘定元帳>勘定コード>残高照会(Tr-Cd:FAGLB03)を選択する。
- 勘定コード([A00001]現金)、会社コード、会計年度を入力して実行する。
- 残高項目をダブルクリックすると、残高の明細が表示される。
次に、反対仕訳伝票を登録する。
- 会計管理>財務会計>総勘定元帳>伝票>反対仕訳>個別反対仕訳(Tr-Cd:FB08)を選択する。
- 以下のデータを入力する。
伝票番号 | 財務会計(FI)3-5.会計伝票の登録で登録した伝票番号 ※不明な場合は、FBL3Nなどで検索する。 |
会社コード | 1000 |
会計年度 | 2020 |
反対仕訳理由 | [Z1]誤入力の取消仕訳 |
- ジャンプ>反対仕訳前に照会を選択する。反対仕訳の元となる伝票が照会される。
- 前画面に戻り、転記(保存)する。
最後に登録された伝票と、勘定残高を確認する。
- 伝票照会(Tr-Cd:FB03)を起動し、登録された伝票を指定して実行する。
⇒元伝票の金額に対して、マイナスがかかった金額で登録されていることを確認する。 - 会計管理>財務会計>総勘定元帳>勘定コード>残高照会(Tr-Cd:FAGLB03)を選択する。
- 勘定コード([A00001]現金)、会社コード、会計年度を入力して実行する。
⇒残高が反対仕訳の金額分、変化していることを確認する。
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
---|---|---|
BKPF | 会計伝票ヘッダ | |
BSEG | 会計伝票明細 | |
ACDOCA | ユニバーサルジャーナル |
演習問題
※複数回答の設問あり。
※答えはドラッグすると見れる。
反対仕訳伝票を登録する際、反対仕訳理由は入力必須である。
A. 正
B. 誤
正解:A
マイナス転記を利用する場合、何を満たす必要があるか。
A. クライアントレベルでマイナス転記が許可されていること。
B. 会社コードでマイナス転記が許可されていること。
C. 伝票タイプでマイナス転記が許可されていること。
D. 利用する反対仕訳理由でマイナス転記が許可されていること。
正解:BD
反対仕訳伝票の転記日付に、元伝票の転記日付と異なる日付を入力する場合、どの設定を確認する必要があるか。
A. 反対仕訳理由
B. 伝票タイプ
C. 会計期間オープン/クローズ
D. ユーザプロファイル
正解:A
消込済明細を含む伝票に対して、反対仕訳を登録することができる。
A. 正
B. 誤
正解:B
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