【認定試験対策】管理会計(CO)6-6.作業手順

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概要

作業手順は主に生産管理で扱うマスタである。様々な領域で使用されるマスタであるが、本記事では、原価計算に関連する話を中心に解説する。

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カスタマイズ、トランザクションコード

  • CA01 – 作業手順 登録
  • CA02 – 作業手順 変更
  • CA03 – 作業手順 照会
  • OP67 – 定義: 管理キー

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作業手順

作業手順とは

作業手順は、製造工程を設定するマスタ。製造の順序や直列で作業するのか、並列で処理するのか、などの設定を保持する。主に生産領域で使うマスタである。

6-1.製品原価計画(PCP)の概要に引き続き、車の原価計算を例にBOMイメージを提示する。

上図の例に、車の作業手順を見ると、塗装に10時間、その後組立に20時間かかることがわかる。作業と作業時間がわかるため、これに賃率をかけると加工費が求まる。※賃率は、活動価格テーブル(COST)から取得する。

また、作業手順は様々なアプリケーション(領域)で利用される。代表例としては、次のパターン。

  • 【生産】能力計画:生産計画に利用する。作業手順から作業時間を取得し、いつ製造が終わるのかを計算する。
  • 【生産】作業時間計上:作業手順の作業時間をもとに、製造実績を計上する。
  • 【管理会計】原価計算:品目原価の計算時、製品の加工手順を取得する。

作業手順ヘッダ

作業手順ヘッダには、作業手順の基本事項を設定する。車の例では、「自動車の生産」という具合で設定する。

品目

生産対象の品目を指定する。品目とプラントが作業手順のキーとなる。
※細かくは他の項目もキーになる。

プラント

生産対象のプラントを指定する。品目とプラントが作業手順のキーとなる。
※細かくは他の項目もキーになる。

グループカウンタ

グループカウンタは、作業手順のバージョンである。BOMにおける代替BOMと同じ役割を持つ。つまり、同じ品目に対してバージョン違いで作業手順を持たせる機能。細かく言えばグループカウンタも、作業手順のキー項目である。
※参考:6-5.品目BOM(部品表/配合表)

原価計算用のグループカウンタを作成して、生産用の作業手順と分けて管理する運用も多い。

用途

用途は、作業手順を分類する項目。通常は、「[1]生産」を利用する。その他に「[2]設計」などSAP標準で用意されている。ユーザ独自の区分値を追加することも可能で、原価計算用の用途を作成して管理する運用も多い。

作業手順ステータス(全体ステータス)

作業手順が利用可能であるかを制御する。区分値は以下のとおり。

  • [1]登録済み
  • [2]指図にリリース済
  • [3]原価計算にリリース済
  • [4]リリース済(一般)

作業手順を利用可能な状態にするには、「[4]リリース済(一般)」に設定する。仮保存の状態にするには、「[1]登録済み」にしておく。

有効開始日、有効終了日

作業手順の有効期間を制御する。原価見積処理実行時、パラメータ「数量構成日付」はこの有効開始日、終了日を見ており、数量構成日付が有効期間内にないと作業手順を取得できない。

作業手順明細(作業)

作業手順の明細は、「作業」という実際の作業単位で設定する。車の例でいうと、「塗装」「組立」をそれぞれ作業として登録する。

【作業】エリア

作業(または活動)

作業のID。作業を識別するためのキー。画面によっては「活動」や「活動番号」と表示される。

管理キー

管理キーは、利用できるトランザクションをまとめたもの。日程計画に使う場合は、日程計画のフラグをONにする。同様に能力所要量、自動入庫、検査工程、など各種フラグがあり、それぞれのトランザクションで利用する場合はフラグをONにする。原価計算に含める工程には、原価計算フラグをONにする

管理キーは、予めカスタマイズで設定しておき、作業手順の明細(作業)に割当する形で利用する。作業登録の度に、ON/OFFを設定するわけではない。

作業区

作業区作業場所を管理するマスタ。システム的に重要な項目で単に場所を管理しているだけではない。ポイントは次の3つを制御している。

  • 原価センタ
  • 活動タイプ
  • 標準値
    • 作業における費用計上の種類を指定する。組立における作業員の労働時間(労務費)、機械の稼働時間(経費)といった具合である。この費用計上の種類が作業手順の明細にセットされる。

【標準値】エリア

基本数量

生産する製品の数量。100個まとめて生産する場合は、基本数量に「100」を入力し、各作業時間は100個生産するためにかかる時間を入力する。

標準値

標準値には、基本数量あたりの生産にかかる作業時間を入力する。「標準時間」と言うこともある。この時間に活動価格テーブル(COST)の賃率をかけると加工費が求まる。

標準値には、作業区で設定されている時間が初期値としてセットされる。初期値は作業設定画面で上書きすることが可能。

【一般データ】エリア

原価計算関連フラグ

原価計算関連フラグは、その名の通り原価計算に含めるか否かを制御している。区分値は以下の通り。

  • [ ]原価計算無関連
  • [1]原価計算50%関連
  • [2]原価計算25%関連
  • [3]原価計算75%関連
  • [X]原価計算100%関連

作業を原価計算に含める場合は、「[X]原価計算100%関連」をセットする。逆に原価計算の対象外とする場合は、「[ ]原価計算無関連」とする。

カスタマイズ

  • SPRO>ロジスティクス – 一般>プロダクトライフサイクルマネジメント (PLM)>基本データ>作業区>作業手順>作業データ>定義: 管理キー(Tr-Cd:OP67)

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カスタマイズ操作方法

今回は、車の生産を例に作業手順を登録すると想定する。

【作業手順マスタ】

  • SAPメニュー>ロジスティクス>生産>マスタデータ>作業手順>作業手順>標準作業手順>登録(Tr-Cd:CA01)

作業手順ヘッダ

項目設定値備考
品目自動車001
プラント東京工場
グループカウンタ90
用途[Y]原価計算
ステータス[4]リリース済
有効開始日、終了日2000/1/1~2000/12/31

作業手順詳細(作業)

作業0010:塗装
項目設定値備考
作業0010
テキスト塗装
管理キーZP01独自に作成
作業区[10001]塗装ラインA作業区[10001]の詳細設定
-原価センタ:ラインA
-活動タイプ:変動労務費
基本数量1
標準値変動労務費:10(時間)
原価計算関連フラグ[X]原価計算100%関連

作業0020:組立
項目設定値備考
作業0020
テキスト組立
管理キーZP01独自に作成
作業区[10002]組立ラインB作業区[10002]の詳細設定
-原価センタ:ラインB
-活動タイプ:変動労務費
基本数量1
標準値変動労務費:20(時間)
原価計算関連フラグ[X]原価計算100%関連

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テーブル

テーブルID内容説明備考
PLKZタスクリスト: メインヘッダタスクリストタイプ=Nが作業手順
PLKO業務一覧 – ヘッダ作業手順のヘッダ情報を保持
PLPOタスクリスト – 作業/活動作業手順の明細(作業)情報を保持
PLFLタスクリスト – 順序
PLFHタスクリスト – 生産資源/治工具
MAPL品目に対するタスクリストの割当品目と作業手順の紐付きを保持

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