【認定試験対策】財務会計(FI)5-1.未消込明細の消込

スポンサーリンク

概要

消込について解説する。試験対策としても実務でも大切なポイントである。

文字で説明すると分かりづらいが、実際SAPを触ってみると大したことはない。是非、実機を触りながらキャッチアップしてほしい。

スポンサーリンク

カスタマイズ、トランザクションコード

  • F-28 – 入金転記
  • F-53 – 支払転記
  • F-32 – 得意先消込
  • F-44 – 仕入先消込
  • F.13 – 自動消込
  • FBL5N – 得意先明細照会
  • FBL1N – 仕入先明細照会

スポンサーリンク

消込について

消込とは

消込とは、借方・貸方に同じ勘定で同じ金額があり、その両方を相殺すること。システム的には、未消込テーブルから消込済テーブルへデータが移動する。

たとえば、掛けで仕入れた商品に対する支払が消込にあたる。

未消込明細とは、未払の請求書など、まだ完了していない取引を表す。

伝票のアーカイブについて

アーカイブとは、データを別の場所に移し、サーバ上からデータを削除すること。一言で言うとバックアップ。アーカイブしたデータは変更ができなくなる。

未消込明細がある伝票は、アーカイブできない

2種類の消込方法:消込転記、勘定消込

消込の方法は2通りある。消込転記と、勘定消込だ。どちらも「消込」という名称のため、会話する際はどちらの消込の話をしているか注意すること。

消込転記 新たな伝票を作り、支払or入金と消込を同時に行う。たとえば、売上に対して入金が行われた時に利用する。
勘定消込 独立した伝票(請求書とクレジットメモ)を紐付ける。たとえば、売上に対して返品があった時に利用する。

消込転記

前述のとおり、消込転記は新たな伝票を作り、支払or入金と消込を同時に行う。 請求書などの未消込明細を消し込む場合に利用する。

ポイントは以下の点。

  • 支払or入金の伝票ができる(消込伝票)
  • 転記時に現金割引の金額を手入力することが可能
  • 対象の未消込明細が消込される(得意先明細照会(Tr-Cd:FBL5N)などの照会画面では「消込済」となる
  • 消込済テーブル(BSAK:仕入先の決済明細、BSAD:得意先の決済明細)にデータが格納される

マニュアル支払処理(マニュアル消込):F-28、F-53

マニュアル支払処理(以降「マニュアル消込」と記載)は、請求書の支払or入金において、消込する未消込明細と支払or入金金額を手入力する方法である。

なお、入力画面に少しクセがあるので、カスタマイズ操作方法で具体的な操作を補足する。

自動支払処理:F110

自動支払処理は、その名のとおり消込転記を自動で処理する機能。自動支払処理に関する設定やマスタ、機能の実行については、財務会計(FI)7-1.自動支払-自動支払処理の概要、銀行マスタで解説する。

勘定消込

前述の通り、勘定消込は独立した伝票(請求書とクレジットメモ)を紐付ける処理。たとえば、売上に対して返品があった時に利用する。

ポイントは以下の点。

  • 未消込明細を紐付けした伝票ができる(消込伝票)
  • 消込伝票に明細はなく、紐付けした伝票番号の情報のみを持つ
  • 対象の未消込明細が消込される(得意先明細照会(Tr-Cd:FBL5N)などの照会画面では「消込済」となる
  • 消込済テーブル(BSAK:仕入先の決済明細、BSAD:得意先の決済明細)にデータが格納される
  • マニュアルで消込する方法と、自動で消込する方法がある(詳しくは次項で説明)
  • 伝票に未消込明細が残る場合(ややこしいので、理解しにくければスルーしてOK)
    • 消込伝票に明細ができる(全明細消込した伝票の貸借相殺した仕訳)
    • 残った未消込明細は、消込済みテーブルへデータは移さない(得意先明細照会(Tr-Cd:FBL5N)なども「未消込」のまま)。

勘定消込は、消込転記のように請求書に対する支払or入金はできないので注意。

マニュアルでの勘定消込:F-32、F-44

その名の通り、手動で勘定消込する方法。紐付けする対象の明細を選択し、転記することで消込伝票が登録される。

消込プログラム(自動消込):F.13

消込プログラム(以降「自動消込」と記載)は、 借方・貸方に同じ勘定で同じ金額があり、その両方の相殺を自動で行う方法である。 マニュアルでの勘定消込を自動化したものと捉えていい。自動消込では、総勘定元帳補助元帳の未消込明細のみ消込可能。

消込は、同じ特性をもつ(特定の項目に同じ値を持つ)明細をグルーピングし、そのグループ内で貸借(金額)が一致すれば消込するという形で行う。ここでいう同じ特性とは、以下の項目が同じ値であることを指す。

  • 会社コード
  • 勘定タイプ
  • 勘定コード
  • 統制勘定コード
  • 通貨
  • 特殊仕訳コード

また、上記の6項目ではグルーピングされる明細が多くなりがちなため、ソートキーを用いてさらに細かくグルーピングできる。

消込プログラム(自動消込)の事前準備

自動で行うということは、自動で行うためのルール(マスタ)を定義する必要がある。必要な準備は、以下の2点。

  • 自動消込のルールをカスタマイズする
    【SPRO>財務会計>総勘定元帳>取引>未消込明細消込>準備: 自動消込処理】
  • 勘定コードマスタの「明細消込管理」フラグをONにする
    ※統制勘定は不要

自動消込については、深いところまでテストに出ないため、ここまでの解説に留める。さらに細かい解説については、要望があれば記載するが、現状は参考となるリンクを貼る形とする。
※参考:【SAP】自動消込機能について解説【FI】 | yoiblog

スポンサーリンク

カスタマイズ操作方法

今回は、マニュアルの消込転記とマニュアルの勘定消込を演習する。

消込転記:F-28

消込転記の中でも得意先請求書の入金転記(Tr-Cd:F-28)を実施する。シナリオとして、販売した商品に対して入金する想定で、SAPにて販売(得意先請求書)→入金(消込)を実施する。実施は次の手順で行う。

  1. 消込対象となる明細(得意先請求書)の登録:FB70
  2. 消込転記前の状態を確認(得意先明細照会):FBL5N
  3. 消込転記の実施:F-28
  4. 消込転記後の状態を確認(得意先明細照会):FBL5N

まず、未消込明細を用意するために、得意先請求書を登録する。

  1. 会計管理>財務会計>債権管理>伝票入力>請求書(Enjoy)(Tr-Cd:FB70)を選択する。
  2. 以下のデータを入力する。
伝票ヘッダ
得意先Customer01
請求書日付2020/4/1
転記日付2020/4/1
金額10,800
通貨会社コード通貨
税額計算ON
税コード[C5]課税売上8%
明細
G/L勘定[P00001]売上
D/C貸方
伝票通貨額10,800
税コードC5
利益センタPR01
  1. メニューバー>シミュレート(F9) で伝票を確認し、保存(転記)する。

得意先明細照会にて、登録した売掛金明細が表示されることを確認する。

  1. 会計管理>財務会計>債権管理>勘定コード>明細照会/変更(Tr-Cd:FBL5N)を選択する。
  2. 得意先コード「Customer01」、会社コードを入力して実行する。
  3. 先ほど登録した伝票が表示されていることを確認する。

消込転記により、先程登録した請求書に対して入金(消込)を行う。

  1. SAPメニュー>会計管理>財務会計>債権>伝票入力>入金(F-28)を選択する。
  2. 以下のデータを入力し、「未消込明細処理」ボタンを押下する。
転記日付2020/4/1
伝票タイプDZ
会社コード1000
転記日付2020/4/1
通貨JPY
銀行データ
勘定コード※預金勘定を作成のうえ、入力すること
金額10,800
未消込明細選択
勘定コードCustomer01
  1. 先程登録した売掛金の明細のみを有効化し、転記(保存)する。
    ※現金割引がある場合は、この画面で現金割引額を入力する。
    ※操作方法が不明な場合は、以下を参照。

消込画面の操作方法について

画面の操作にクセがあるので、以下を参考に操作すること。

  • 金額が青文字になっている明細が、有効化されている明細
    金額が黒文字になっている明細が、無効化されている明細
  • 金額をダブルクリックすることで、有効化/無効化を切り替える
    もしくは、画面下部の「明細有効化」/「明細無効化」で切り替える
  • 行全体が青文字になっている明細が、選択中の明細
    選択中の明細に一括操作ができるので、複数の明細に対して処理する場合に利用する

画面初期表示ですべての明細が有効化されているので、画面下の「全選択」「無効化」で一度すべての明細を無効化し、必要な明細のみを有効化する。

得意先明細照会にて、登録した売掛金明細が表示されないことを確認する。

  1. 会計管理>財務会計>債権管理>勘定コード>明細照会/変更(Tr-Cd:FBL5N)を選択する。
  2. 得意先コード「Customer01」、会社コードを入力して実行する。
  3. 先ほど登録した伝票が表示されないことを確認する。

理解を深めるために余力があれば、以下を確認しよう。

  • 消込伝票の照会
    • 伝票照会(Tr-Cd:FB03)で入金(消込)伝票を照会しよう。明細に売掛金の減少と預金の増加が確認できる。
  • 消込伝票のテーブルデータを確認
    • テーブルBSADの「消込伝票」に消込伝票の伝票番号を入力し、消込した売掛金明細が紐付けされていることを確認しよう。
  • 消込された売掛金明細を確認
    • 最初に登録した得意先請求書の売掛金明細を照会しよう。消込伝票欄から消込伝票の伝票番号が確認できる

勘定消込(得意先消込):F-32

勘定消込の中でも得意先消込(Tr-Cd:F-32)を実施する。シナリオとして、一度販売したものを全額返品対応する想定で、SAPにて販売(得意先請求書)→返品(クレジットメモ)→販売と返品の紐付け(消込)を実施する。実施は次の手順で行う。

  1. 消込対象となる明細(得意先請求書、クレジットメモ)の登録:FB70、FB75
  2. 勘定消込前の状態を確認(得意先明細照会):FBL5N
  3. 勘定消込の実施:F-32
  4. 勘定消込後の状態を確認(得意先明細照会):FBL5N

まず、未消込明細を用意するために、得意先請求書を登録する。

  1. 会計管理>財務会計>債権管理>伝票入力>請求書(Enjoy)(Tr-Cd:FB70)を選択する。
  2. 以下のデータを入力する。
伝票ヘッダ
得意先Customer01
請求書日付2020/4/1
転記日付2020/4/1
金額10,800
通貨会社コード通貨
税額計算ON
税コード[C5]課税売上8%
明細
G/L勘定[P00001]売上
D/C貸方
伝票通貨額10,800
税コードC5
利益センタPR01
  1. メニューバー>シミュレート(F9) で伝票を確認し、保存(転記)する。

次に、返品を記録するためにクレジットメモを登録する。

  1. 会計管理>財務会計>債権管理>伝票入力>クレジットメモ(Enjoy)(Tr-Cd:FB75)を選択する。
  2. 以下のデータを入力する。
伝票ヘッダ
得意先Customer01
請求書日付2020/4/1
転記日付2020/4/1
金額10,800
通貨会社コード通貨
税額計算ON
税コード[C5]課税売上8%
明細
G/L勘定[P00001]売上
D/C借方
伝票通貨額10,800
税コードC5
利益センタPR01
  1. メニューバー>シミュレート(F9) で伝票を確認し、保存(転記)する。

得意先明細照会にて、登録した売掛金明細が表示されることを確認する。

  1. 会計管理>財務会計>債権管理>勘定コード>明細照会/変更(Tr-Cd:FBL5N)を選択する。
  2. 得意先コード「Customer01」、会社コードを入力して実行する。
  3. 先ほど登録した伝票が表示されていることを確認する。

勘定消込により、先程登録した請求書とクレジットメモの売掛金を消込する。

  1. SAPメニュー>会計管理>財務会計>債権管理>勘定コード>消込(Tr-Cd:F-32)を選択する。
  2. 得意先コード「Customer01」を入力し、「未消込明細処理」ボタンを押下する。
  3. 先程登録した売掛金に関する2明細のみを有効化し、転記(保存)する。
    ※操作方法が不明な場合は、こちらを参照。

番号範囲のエラーが発生する場合は、勘定消込で使用される伝票タイプと、伝票タイプに紐づく番号範囲を確認すること。

【SPRO>財務会計>債権管理および債務管理>会計トランザクション>銀行支払>銀行支払共通設定>定義: 消込転記キー】

テーブルは、T041A(消込トランザクション)、T041T(決済処理名)を参照。

得意先明細照会にて、登録した売掛金明細が表示されないことを確認する。

  1. 会計管理>財務会計>債権管理>勘定コード>明細照会/変更(Tr-Cd:FBL5N)を選択する。
  2. 得意先コード「Customer01」、会社コードを入力して実行する。
  3. 先ほど登録した伝票が表示されないことを確認する。

理解を深めるために余力があれば、以下を確認しよう。

  • 消込伝票の照会
    • 伝票照会(Tr-Cd:FB03)で入金(消込)伝票を照会し、明細がないことを確認しよう。
  • 消込伝票のテーブルデータを確認
    • テーブルBSADの「消込伝票」に消込伝票の伝票番号を入力し、消込した売掛金明細が紐付けされていることを確認しよう。
  • 消込された売掛金明細を確認
    • 最初に登録した得意先請求書の売掛金明細を照会しよう。消込伝票欄から消込伝票の伝票番号が確認できる

スポンサーリンク

テーブル

テーブルID内容説明備考
BKPF会計伝票ヘッダ情報
BSEG会計伝票明細情報
BSID会計管理:得意先の二次索引未消込の得意先明細
BSAD会計管理:得意先の二次索引(決済明細)消込済みの得意先明細
BSIK会計管理:仕入先の二次索引未消込の仕入先明細
BSAK会計管理:仕入先の二次索引(決済明細)消込済みの仕入先明細
BSIS会計管理:勘定コードの二次索引未消込のG/L勘定明細
BSAS会計管理:勘定コードの二次索引(決済明細)消込済みのG/L勘定明細
T041A消込トランザクション勘定消込における設定を保持
T041T決済処理名勘定消込における設定を保持

スポンサーリンク

演習問題

※複数回答の設問あり。
※答えはドラッグすると見れる。

以下の文章について、正誤を答えよ。

未消込明細がある伝票をアーカイブできる。

A. 正
B. 誤

正解:B

消込済明細に含まれる情報は、以下のどれか。

A. 消込伝票番号
B. 支払期日
C. 消込日付
D. アーカイブ情報

正解:AC

自動消込プログラムを使用して、消込できるのは次のどれか。

A. 総勘定元帳勘定
B. 特殊仕訳コード
C. 通貨
D. 補助元帳勘定

正解:AD

以下の文章について、正誤を答えよ。

マニュアルで支払処理を実行する際、現金割引額の上書きが可能である。

A. 正
B. 誤

正解:A

コメント

タイトルとURLをコピーしました