概要
固定資産の取引について。続いては固定資産の振替について解説する。
カスタマイズ、トランザクションコード
- OATB – 割当: ローカル→システム間償却領域
- ABUMN – 会社コード内の振替
- ABT1N – 資産振替(関連会社間)
資産振替
資産振替とは、資産Aの金額を資産Bに移すこと。振替元、振替先の会社コードが同じ場合、会社コード内振替という。会社コードが異なる場合は、会社コードを跨いだ振替(会社コード間振替)という。
振替バリアント、関係タイプ、振替方法
資産振替において理解しておくべき項目「振替バリアント」、「関係タイプ」、「振替方法」について解説する。標準の振替バリアント[1]総額法では、以下のような設定になっている。まずは、ここで設定画面のイメージを掴んでいただきたい。
振替バリアント
振替バリアントは、関係タイプごとの振替方法や、振替に使用する取引タイプをまとめたものである。振替バリアント:関係タイプの紐づきは、1:Nである。
会社内コード内振替ではこの取引タイプ、会社コード間振替ではこの取引タイプ、といった設定をする。資産振替の登録画面では、取引タイプを直接入力するのではなく、振替バリアントを入力する。
関係タイプ
関係タイプは、振替方法や、振替に使用する取引タイプをまとめたものである。資産振替の登録時は手入力するのではなく、振替元、振替先の会社コードから自動的に判別される。
- 振替元と振替先が違う会社コード:会社コード内振替
→関係タイプ:01 - 振替元と振替先が同じ会社コード:会社コード内振替
→関係タイプ:02
振替方法
振替方法は、振替先の資産の取得金額を決めている。
振替方法 | 振替先の取得金額 |
---|---|
総額法 | 振替元の取得金額、減価償却累計額をそのまま振替先に引き継ぐ。 |
正味額法 | 振替元の帳簿価額を、振替先の取得価額とする。 |
新評価方法 | 市場価格を調べて、それを取得価額とする。 |
会社コード内の振替
会社コード内の資産振替では、以下のようなパターンを想定している。
- 誤った資産クラスで資産マスタの登録、および取得転記をしたので、正しい資産クラスで再登録したい
- 資産を分割したい
- 資産の一部を移動したい
資産の振替では、以下3つの処理をまとめて行う。
- 振替元:除却
- 振替先:資産マスタの登録、取得
※既存の資産マスタを利用することも可能
また、会社コード内の振替では、標準の振替バリアント「4」が初期値として提案されることを押さえておこう。
会社コードを跨いだ振替(会社コード間の振替)
会社コードを跨いだ振替についても、基本は会社コード内の振替と同じである。ただし、以下の点に注意が必要である。
会社間償却領域(システム間償却領域)
会社コードには償却表が割当されているが、償却表には償却領域が割当されている。会社コード間で振替する場合は、償却表が異なる可能性がある。つまり、償却表内の償却領域も異なる可能性がある。
そのため、資産振替の前に償却領域の紐付けをしておく必要がある。これを会社間償却領域という。
【カスタマイズ】
SPRO>財務会計>固定資産管理>取引>資産振替(関連会社間)>自動資産振替(関連会社間)>定義: システム間償却領域
カスタマイズ操作方法
会社コード内で資産を振り替える:ABUMN
- 資産エクスプローラ(Tr-Cd:AW01N)で社用車、車両運搬具の状況を確認する。
→取得価額が社用車は10,000、車両運搬具は0となっていることを確認する。 - SAPメニュー>財務会計>固定資産管理>記帳>振替>会社コード内の振替(Tr-Cd:ABUMN)を起動する。
- 以下のデータを入力し、Enterを押下する。
資産 | (社用車の資産番号) |
伝票日付 | 2000/4/1 |
転記日付 | 2000/4/1 |
資産日付 | 2000/4/1 |
既存の資産(ON) | (車両運搬具の資産番号) |
- 保存(転記)する。
- 伝票照会(Tr-Cd:FB03)などで、登録された伝票を照会する。
→固定資産/固定資産 の仕訳が登録されていることを確認する。 - 資産エクスプローラ(Tr-Cd:AW01N)で社用車、車両運搬具の状況を確認する。
→取得価額が社用車は0、車両運搬具は10,000となっていることを確認する。
会社コードを跨いで資産を振り返る:ABT1N
会社コード間振替については、会社コード内振替とほぼ同じ操作のため、トランザクションコードを紹介するに留める。
【起動経路】
SAPメニュー>財務会計>固定資産管理>記帳>振替>資産振替(関連会社間)(Tr-Cd:ABT1N)
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
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