【認定試験対策】財務会計(FI)4-5.支払条件、現金割引

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概要

支払条件と現金割引について、解説する。設定する項目が多く、かつ仕入先/取引先との取引に大きく影響する。加えて、試験問題にもよく出てくる。実務的にも試験的にも重要なのでしっかり押さえておこう。

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カスタマイズ、トランザクションコード

  • OBB8 – 支払条件
  • FK02 – 仕入先マスタ 変更
  • FB60 – 仕入先請求書登録

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支払条件

支払条件とは

支払期日に関する設定を持っているマスタである。また、現金割引(支払期日より前に支払することで割引を受けること)に関する設定も可能。たとえば、「○○工業から仕入れたは、翌月末までに支払う。ただし、請求から1週間以内に支払すれば2%の割引を受けられる。」といったもの。

自社から仕入先への支払、得意先から自社への支払、どちらも支払条件マスタで管理している。SAP標準で用意されているが、追加も可能。

具体的には、以下の情報を保持している。支払期日の日付を直接管理しているのではなく、支払期日を算出するための条件を管理していると思えばいい。

  • 支払基準日(支払期日の計算元となる基準日)
  • 現金割引期間
  • 現金割引率

支払条件の割り当て、支払条件の決定ロジック

支払条件は、仕入先/得意先マスタに割り当てる。割り当てるレベルは、マスタの会社コードセグメント、もしくは購買組織セグメント(得意先の場合は販売エリアセグメント)に割り当てることができる。両方に割り当てることも可能。

これは、使うユーザが異なるという想定で作られているためである。財務担当者は会社コードセグメントの支払条件を利用し、購買/販売担当者は購買組織/販売エリアセグメントの支払条件を利用することを想定している。

そのため、財務会計のトランザクションから伝票登録する際は、会社コードセグメントの支払条件が初期値として提案され、購買/販売のトランザクションから伝票登録する際は、購買組織/販売エリアセグメントの支払条件が初期値としてセットされる。

セットされた支払条件は初期値のため、手入力による上書きが可能。

購買トランザクションによって自動転記される会計伝票は、元となる購買伝票の支払条件を利用して伝票登録される点を覚えておこう。

支払条件の「支払管理」項目(支払保留キー、支払方法)

支払条件には支払期日、現金割引に関する情報以外に以下を管理している。

  • 支払保留キー(保留キー)
    • 債務の支払、債権の回収を止めておく機能。伝票の起票者と承認者が別れており、起票者が伝票登録した際は支払(回収)せず、承認者が承認した際に支払(回収)するといった運用で利用される。
  • 支払方法
    • 何で支払をするのか(現金か、預金か、手形か、など)を管理する項目

実務的には、支払条件で管理される「保留キー」「支払方法」は利用しない傾向にある。というのも、支払条件がクライアントレベルでの設定となるため、影響範囲が広い。
「保留キー」「支払方法」は仕入先マスタ、得意先マスタに設定できるため、こちらで管理する方が一般的である。

期限(請求書の日付によって支払条件を分岐させる方法)

期限とは、請求書の日付(支払基準日)によって支払条件を分岐させる方法である。たとえば、「20日締めの翌月15日払い」という支払条件を設定する場合に期限を活用する。あくまで、支払条件キーは同じで期限ごとに支払条件を設定している、という点に注意。

  • 支払基準日が4/20以前:5/15が支払期日
  • 支払基準日が4/21以降:6/15が支払期日

分割支払

支払を分割して行う場合に利用する。たとえば、請求金額の半分を月末に支払い、残りを翌月に支払うなど。支払条件マスタの「分割支払」をONにすることで利用可能になる。

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カスタマイズ操作方法

以下の要件を満たす支払条件を新たに追加する。

  • 即時支払の場合、5%の現金割引
  • 14日以内の支払の場合、2%の現金割引
  • 30日以内の支払の場合、控除なし
  • 支払基準日は転記日付

支払条件の登録:OBB8

  1. SPRO>財務会計>債権管理および債務管理>会計トランザクション>銀行支払請求/クレジットメモ>更新: 支払条件 を選択する。
  2. 編集>新規エントリを選択する。
  3. 以下のデータを入力し、保存する。
支払条件(支払条件キー)Z001
勘定タイプ
得意先コードOFF
仕入先コードON
支払基準日初期値転記日付
支払条件:条件1
パーセント5%
日数空白
支払条件:条件2
パーセント2%
日数14
支払条件:条件3
パーセント空白
日数30
「支払基準日初期値」欄について

支払基準日の初期値を決める。次に説明する「支払基準日計算」と組み合わせることも可能。以下から選択する。

  • 初期値なし(伝票に手入力する)
  • 転記日付
  • 伝票日付
  • 入力日付
「支払基準日計算」欄について

「支払基準日初期値」と組み合わせて使う。支払基準日計算欄は、「次の5日」というように支払基準日を固定の日付で指定する場合に利用する。「次の5日」を指定する場合、固定日に「5」、追加月は空白を入力する。これが「次の次(翌月)の5日」の場合、追加月に「1」を入力する。

また、「転記日付の1月後」という設定も可能。この場合、「支払基準日初期値」に「転記日付」を選択し、追加月に「1」を入力する。

「支払条件」欄の固定日と追加月数について

支払条件欄の固定日と追加月数も、支払基準日と同じ使い方である。「支払基準日から○日」という場合は日数の項目を使うが、「次の5日」という固定した日付がある場合は、固定日と追加月数を使う

仕入先マスタレコードヘの新しい条件の割当:FK02

  1. 会計管理>財務会計>債務>マスタレコード>変更 を選択する。
  2. 仕入先コード「Vender01」を入力し、一般データタブの支払処理をチェックし、Enterを押下する。
  3. 支払条件「Z001」を入力し、保存する。

設定を確認する(仕入先請求書の登録):FB60

支払条件が正しく設定されているか確認する。

  1. 会計管理>財務会計>債務>伝票入力>請求書(Enjoy) を選択する。
  2. 仕入先に「Vender01」、転記日付に「2020/4/1」を入力し、支払タブをクリックする。
  3. 仕入先「Vender01」に登録した支払条件「Z001」が、セットされていることを確認する。
    また、支払条件「Z001」に設定した内容が反映されていることを確認する。
    • 支払基準日:転記日付(2020/4/1)
    • 支払期日:30日後(2020/4/30)
    • 現金割引期間、割引率:支払条件の設定値

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テーブル

テーブルID内容説明備考
T052支払条件
TVZBT支払条件テキスト
T052U支払条件の独自説明
LFB1仕入先マスタ(一般)
KNA1得意先マスタ(一般)

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演習問題

※複数回答の設問あり。
※答えはドラッグすると見れる。

支払保留キーを伝票に入力する方法として何があるか。

A. 支払条件に支払保留キーを設定する
B. 仕入先に支払保留キーを設定する
C. 得意先に支払保留キーを設定する
D. 伝票登録時に支払保留キーを直接入力する

正解:ABCD

支払条件を仕入先マスタに割当する。どのレベルに割当可能か。

A. クライアントレベルセグメント(一般データセグメント)
B. 会社コードセグメント
C. 購買組織セグメント
D. 販売エリアセグメント

正解:BC

支払条件について、現金割引期間はいくつ登録することができるか。

A. 1つ
B. 2つ
C. 3つ
D. 4つ

正解:C

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