概要
管理会計伝票(CO伝票)の基本について、解説する。CO伝票すべてに共通するカスタマイズ、制御を中心に扱う。
カスタマイズ、トランザクションコード
- KANK – 更新: CO伝票の番号範囲
- OKB9 – 管理: 初期勘定割当
- OKP1 – 期間ロック 変更
- OKP2 – 期間ロック 照会
管理会計伝票の基本
伝票番号範囲
伝票番号範囲は、管理会計伝票(以後、CO伝票)の伝票番号を制御している。伝票番号範囲は、業務トランザクションごとに割当する。例えば、財務会計のトランザクションで登録されたCO伝票は、10001~20000、管理会計のトランザクションで登録されたCO伝票は20001~30000、と伝票番号を切り分けるために利用する。
上記の例でFI、CO共に番号範囲を10001~20000とすることも可能。また、計画と実績では業務トランザクションが異なるため、それぞれ別の番号範囲を割当できる。※SAPも計画と実績で別々の番号範囲にすることを推奨。
内部番号割当と外部番号割当
伝票番号の採番方法に、自動(連番)で採番する方法と、手動(手入力)で採番する方法がある。自動(連番)で採番する方法を内部採番、あるいは内部番号割当という。手動で採番する方法を外部採番、あるいは外部番号割当という。
初期勘定割当
初期勘定割当は、一次原価の転記時にCOオブジェクトの初期値をセットする機能である。一次原価に対して、初期値を設定しておくと、伝票登録時にCOオブジェクトを自動入力してくれる。初期値であるため、手入力による上書きが可能。為替差損益のようにCOオブジェクトが入力されない費用に設定しておく。
例えば、為替差損益を常に原価センタ「管理部門」に計上する場合、為替差損益に対する原価センタ初期値を「管理部門」に設定しておく。設定はCOの領域であるが、FI伝票に影響が出ることに注意しよう。
また、原価センタだけでなく、間接費指図や利益センタの割当も設定できる。
チェック、代入
チェック、代入については、財務会計(FI)11-2.チェック、代入にてカスタマイズ方法を記載しているため、こちらも参照すること。
チェック
チェックは、伝票入力時、特定条件を満たした際にメッセージを表示する機能。例えば、通信費を必ず管理部門に計上したい場合、「原価要素が通信費のとき、原価センタが管理部門以外であればエラーメッセージを表示する」といったチェックとメッセージ表示ができる。
初期勘定設定と同様、チェック処理はCO領域で設定するが、FI伝票登録時にチェックが走ることを留意しておこう。
【起動経路】
SPRO>管理会計>管理会計一般>勘定割当理論>定義: チェック
代入
代入は、伝票入力時、特定条件を満たした際に伝票の入力値を置換する機能。例えば、「原価要素が通信費のとき、原価センタを管理部門で上書きする」といったことができる。
【起動経路】
SPRO>管理会計>管理会計一般>勘定割当理論>定義: 代入
期間ロック
業務トランザクション別、期間別に伝票登録の可否を制御する機能。特定の業務トランザクションに対して、転記を制御する場合に利用する。
トランザクション | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
FIからCOへの転記 | X | X | X | |||||||||
CO-PAへの配賦 | X | X | ||||||||||
実績決済 | X | X | ||||||||||
・・・ |
期間ロック変更画面で管理領域、会計年度、バージョン、実績or計画を入力すると、上記のようなマトリクスが表示される。業務トランザクション×期間ごとに転記可能(ブランク)、転記不可(”X”)を制御している。
【トランザクション】
- OKP1 – 期間ロック 変更
- OKP2 – 期間ロック 照会
カスタマイズ操作方法
伝票番号範囲の設定:KANK
番号範囲の登録
- SPRO>管理会計>管理会計一般>組織>更新: CO伝票の番号範囲(Tr-Cd:KANK)を起動する。
- 管理領域「1000」を入力し、Enterを押下する。
- メニューバー>ジャンプ>グループ>編集 を選択する。
- メニューバー>グループ>グループ登録、もしくは既存のグループをダブルクリックにて、番号範囲を新規登録する。
番号範囲の編集
- SPRO>管理会計>管理会計一般>組織>更新: CO伝票の番号範囲(Tr-Cd:KANK)を起動する。
- 管理領域「1000」を入力し、Enterを押下する。
- メニューバー>範囲>編集 を選択する。
- 番号範囲を編集する。
業務トランザクションに番号範囲を割当する
- SPRO>管理会計>管理会計一般>組織>更新: CO伝票の番号範囲(Tr-Cd:KANK)を起動する。
- 管理領域「1000」を入力し、Enterを押下する。
- メニューバー>ジャンプ>グループ>編集 を選択する。
- 業務トランザクション(COINなど)を選択し、右クリック>グループへのエレメントの割当 を選択する。
- 割当する番号範囲を選択し、保存する。
初期勘定割当の設定:OKB9
- SPRO>管理会計>原価センタ会計>実績転記>実績転記の為の定義>管理: 初期勘定割当(Tr-Cd:OKB9)を起動する。
- 会社コード×原価要素ごとに、割当するCOオブジェクトを設定する。
【設定レイアウト】
会社コード | 原価要素 | BArIn (事業領域) | 原価センタ | 指図 | 収益性セグメント | 利益センタ | 勘定割当詳細 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ON/OFF | ON/OFF | [1]評価レベル入力必須 [2]事業領域必須 [3]利益センタ必須 |
- 勘定割当詳細に、[1]評価レベル入力必須、[2]事業領域必須を指定した場合は、評価レベル、事業領域に応じた勘定割当を細かく設定する。
【設定レイアウト】
評価レベル | 事業領域 | 原価センタ | 指図 | 利益センタ |
---|---|---|---|---|
- 勘定割当詳細に、[3]利益センタ必須を指定した場合は、利益センタ勘定割当を細かく設定する。
【設定レイアウト】
利益センタ | 原価センタ | 指図 |
---|---|---|
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
---|---|---|
NRIV | 番号範囲間隔 | CO伝票の番号範囲を保持 オブジェクト名:RK_BELEG が対象。 Subobject 値:管理領域 |
TKA04 | CO 伝票番号範囲 | 番号範囲と業務トランザクションコードの紐づきを保持 |
TNRGT | 番号範囲オブジェクトグループのテキスト | 番号範囲グループのテキストを保持 オブジェクト名:RK_BELEG が対象。 Subobject 値:管理領域 |
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