概要
一次原価の一次転記(FIやMMなどから発生するCO伝票の登録)について解説する。
カスタマイズ、トランザクションコード
- FB03 – 伝票照会
- MIGO – 入出庫伝票
一次転記
一次原価の転記フロー
一次原価(材料費など)の転記は、大きく2パターンある。ひとつは財務会計の伝票登録、もうひとつは購買管理(MM)などFI以外の伝票登録。一次原価はCO伝票を直接登録するのではなく、他領域の伝票登録に伴って自動登録されることを念頭に置いておこう。

実績転記と統計転記
一次原価の登録には、この実績転記と統計転記がある。
- 実績転記
- 実際にデータが登録されているCOオブジェクト。
- 統計転記
- 実際にはデータが登録されていないCOオブジェクト。費用との紐付きだけ保持しており、データの参照目的で使用する。
実績転記、統計転記のシステム的な制約は以下のとおり。
- 実績転記されるCOオブジェクトは一つのみ、残りのオブジェクトはすべて統計転記となる。
- 実績転記されたCOオブジェクトのみ、後続処理(配賦、決済)が可能。
- 収益を実績転記できるのは、収益性セグメント、受注、販売プロジェクト、収益転記を許可している実績指図のみ。利益センタへの収益転記は、統計転記となる。
少しシステマチックな話だが、次の図で理解していこう。

まず、1-1.管理領域、組織ユニットでは、原価センタを「費用を溜める箱」と説明したが、費用を溜める機能を持つマスタをコストコレクターと呼ぶ。コストコレクターは、原価センタだけでなく、利益センタ、内部指図、WBS要素など、COで扱うオブジェクトの多くはコストコレクターである。
上記の図では、原価センタと利益センタのコストコレクターがあり、実際に費用を溜めるのは、どちらか片方のコストコレクターである。これは両方に費用を溜めると、費用がダブルカウントされるためである。実際に費用を溜める方を実績転記、実際には費用計上されていない方を統計転記という。図では、実績転記:原価センタ、統計転記:利益センタ、としている。
統計転記は、費用計上されていないため、見かけ上、費用計上されているようになっている。利益センタに計上されている費用を照会すると、統計転記されたデータも見ることができる。これが参照という形である。
なお、どのCOオブジェクトに実績転記されているかは、対象番号で確認できる。
カスタマイズ操作方法
一次転記の確認
FI伝票の転記により自動登録されたCO伝票、MM伝票の転記により自動登録されたCO伝票を、それぞれ確認する。
FI伝票の転記により自動登録されたCO伝票
例として、財務会計(FI)3-5.会計伝票の登録-仕入先からの請求書を登録する:FB60で登録した伝票を使う。
- 伝票照会(Tr-Cd:FB03)を起動する。
- 伝票番号、会社コードを入力し、Enterを押下する。
※伝票番号の調べ方については、財務会計(FI)3-6.会計伝票の照会参照。 - メニューバー>環境>伝票関連処理>会計伝票 を選択する。
- 「管理会計伝票」をダブルクリックする。
※フォルダマークのボタンを押下すると、CO伝票の明細が開く。
製品出庫により自動登録されたCO伝票
- 入出庫伝票照会(Tr-Cd:MIGO)を起動する。
- 「照合」「入出庫伝票」を選択し、出庫伝票を入力する。
- 「伝票情報」タブをクリックする。
- 「会計伝票」ボタンを押下する。
- 「管理会計伝票」をダブルクリックする。
※フォルダマークのボタンを押下すると、CO伝票の明細が開く。
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
---|---|---|
ACDOCA | ユニバーサルジャーナル | 従来のヘッダと明細(BKPFとBSEG)が合体した形のテーブル。 明細単位でレコードを保持する。 |
COBK | CO 対象: 伝票ヘッダ | |
COEP | CO 対象: 明細 (期間別) | CO伝票の明細(実績) |
COSP | CO 対象: 外部転記の原価合計 | 一次原価要素に関するCO伝票の合計値 |
COSS | CO 対象: 内部転記の原価合計 | 二次原価要素に関するCO伝票の合計値 |
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