【認定試験対策】管理会計(CO)5-4.実績転記、データフロー、利益センタの誘導

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概要

利益センタの実績転記について、基本を解説する。利益センタ伝票(PCA伝票)は、他領域の業務に伴って登録されることが多いため、いつ伝票が発生するのか、その時の利益センタがどのように誘導されるのかを押さえておこう。

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カスタマイズ、トランザクションコード

  • FAGL3KEH – 割当: デフォルト利益センタを勘定へ
  • 3KEH – 選択: 追加貸借対照表勘定と損益勘定
  • FAGLSKF – 総勘定元帳へ統計キー数値入力 (実績)
  • 3KE1 – 利益センタ会計 実績配賦周期 登録
  • 3KE5 – 利益センタ会計 実績配賦 実行
  • 4KE1 – 利益センタ会計 実績付替周期 登録
  • 4KE5 – 利益センタ会計 実績付替 実行
  • 3KE7 – 利益センタ会計 計画配賦周期 登録
  • 3KEB – 利益センタ会計 計画配賦 実行
  • 4KE7 – 利益センタ会計 計画付替周期 登録
  • 4KEB – 利益センタ会計 計画付替 実行

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実績転記、データフロー

まず、利益センタ会計の伝票(利益センタ伝票、もしくはPCA伝票という)は、基本的にFI伝票と同時に発生する。また、FI伝票の一部は他のロジスティクス領域の伝票に伴って発生する。

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例えば、製品を受注する時、SD領域で受注伝票を登録する。すると、受注伝票に伴いFI伝票とPCA伝票が登録される。このようにロジ領域と会計領域が連携しているため、PCA伝票を直接登録するのではなく他領域の伝票登録に伴って登録されることが中心になる。

なお、最初にインプットする伝票(上記であれば受注伝票)をオリジナル伝票、もしくは先行伝票という。オリジナル伝票に伴って自動起票される伝票(上記であればFI伝票、PCA伝票)を後続伝票という。

利益センタ誘導の大原則

利益センタ決定(誘導)のパターンは多岐にわたる。そのため、まずは大原則を捉えておいていただきたい。だいたいのイメージが掴めればよい。

オリジナル伝票、後続伝票の利益センタ誘導

まずは、オリジナル伝票と後続伝票の利益センタ誘導について。

  • オリジナル伝票
    伝票項目の値に応じて利益センタが決まる。例えば、受注伝票であれば受注明細の品目マスタに割当されている利益センタが、伝票明細の利益センタとなる。

  • 後続伝票
    オリジナル伝票の利益センタになる。例えば、請求伝票の登録に伴って自動起票されたPCA伝票であれば、請求伝票(オリジナル伝票)の利益センタがPCA伝票の利益センタとなる。

誘導の優先順位

今度は利益センタ誘導について詳しく解説する。基本、オリジナル伝票の誘導についてだと理解してもらえればよい。

利益センタ誘導は、次の0から順に処理していく。利益センタが割当されたらそこで処理が終わり、割当されなかったら次の処理に進む。ただし、代入だけは上書きされる。

  1. 初期勘定割当
    初期勘定割当は、一次原価の転記時にCOオブジェクトの初期値をセットする機能である。一次原価に対して、初期値を設定しておくと、伝票登録時にCOオブジェクトを自動入力してくれる。COオブジェクトと言っているが、利益センタもセット可能。為替差損益のようにCOオブジェクトが入力されない費用に設定しておく。
    ※参考:管理会計(CO)2-1.管理会計伝票の基本-伝票番号範囲、初期勘定割当、チェック/代入、期間ロック

  1. 原価or収益のCO対象から誘導
    一次原価要素、二次原価要素の仕訳が起きる伝票についてはCO対象が必ず紐付く。このとき、CO対象に紐付いている利益センタを伝票に割り当てる
    なお、このCO対象は統計転記ではなく実際転記に限られる。統計転記については、2-2.管理会計伝票-一次転記参照。

  1. 代入
    伝票の入力情報に応じて利益センタを誘導する方法である。例えば、伝票明細の原価要素や原価センタに応じて利益センタを決める、といったことができる。原価センタや品目マスタからの誘導よりも細かく利益センタを指定する際に利用する。また、もっと細かく利益センタを決めたい場合は、Exitにより利益センタを誘導することもある。
    ※なお代入は、すでに利益センタが入力されていても上書きする。
    ※参考:財務会計(FI)11-2.チェック、代入

  1. デフォルト利益センタ
    勘定ごとに割当する利益センタをカスタマイズで決めておき、上記のロジックで利益センタが決まっていない場合、このカスタマイズを見て利益センタを誘導する。例えば、預金など原価センタが紐付かないBS勘定によく利用される。

  1. 伝票分割
    利益センタが入っている明細を参照して、利益センタが入っていない明細に利益センタを入力する機能である。伝票分割は、新総勘定元帳以降で追加された。
    ※参考:財務会計(FI)4-1.伝票分割 

各データフローと利益センタの誘導

いつPCA伝票が発生するのか、その時の利益センタがどのように誘導されるのか、を具体的に見ていこう。

在庫/購買管理からのデータフロー

購買のフロー(購買発注→入庫→請求書照合)のイメージは以下のとおり。

まず、購買発注伝票の利益センタは、初期勘定割当のあり/なしで変わる。初期勘定割当があれば、初期勘定割当の利益センタが誘導される。なければ品目マスタの利益センタが誘導される。上図では品目のケースを想定している。※初期勘定割当については、管理会計(CO)2-1.管理会計伝票の基本-伝票番号範囲、初期勘定割当、チェック/代入、期間ロック参照。

その後の入出庫伝票、請求書照合では元の購買発注の利益センタが引き継がれる。さらに入出庫伝票、請求書照合の利益センタが、後続伝票のFI伝票、PCA伝票に引き継がれる。

原価対象管理からのデータフロー

製造プロセスからは2点、解説する。

まず、材料消費について。PP領域にて材料の消費を登録する。このとき、指図を指定する。すると 材料費/材料 の仕訳が起き、材料費には指図の利益センタ材料には品目の利益センタが誘導される。この指図の利益センタは、もとを辿れば製造する品目の利益センタであり、材料の利益センタをイコールになる(業務的にそうなることが多いはず)。

次に、加工費計上について。これはCO伝票で登録する。このとき、利益センタはそれぞれのコストオブジェクトに紐付く利益センタである。

販売管理からのデータフロー

販売フロー(受注→出荷→請求)のイメージは以下のとおり。

まず、受注伝票の利益センタは、品目の利益センタが誘導される。なお、利益センタは受注伝票の明細がごとに誘導される。代入やExitが組み込まれている場合は、伝票保存時などに利益センタが上書きされることもある。

その後、入出庫伝票、請求伝票、およびそれに伴って発生するPCA伝票は、受注伝票の利益センタが引き継がれていく

固定資産管理からのデータフロー

固定資産の処理は大きく2種類。固定資産の取引(取得、売却、除却など)と償却である。いずれも発生する仕訳の利益センタは資産マスタから誘導される。

ただし、資産マスタには利益センタの紐付きが多くある。資産マスタに直接割当されている利益センタ、資産マスタに割当されている原価センタ・内部指図に紐付く利益センタである。資産マスタに利益センタが直接割当されている場合はその利益センタ割当されていない場合は原価センタor内部指図に紐付く利益センタが誘導される。

なお、固定資産の相手勘定の利益センタ(図であれば現預金の利益センタ)は、勘定ごと・設定ごとに利益センタの誘導が異なる。現預金であればデフォルト利益センタを誘導、買掛金であれば相手明細(固定資産)の利益センタを誘導、など。

固定資産について詳しく知りたい場合は、以下の記事が参考になる。
※参考:固定資産-資産マスタ-
※参考:固定資産-取得-
※参考:固定資産-除却、売却-
※参考:固定資産-減価償却-

付替・配賦

付替・配賦は、利益センタの振替を行う処理である。利益センタAにある金額を利益センタB、Cに何かしらの基準で割り振る。この何かしらの基準を「配賦基準」という。間接費など、予めどこかの利益センタに金額をプールしておき、期末で配賦する際に利用する。

付替は配賦元と同じ勘定コードで配賦する方法、配賦は別の勘定コード(二次原価要素)で配賦する方法である。下図は原価センタ会計の配賦イメージであるが、同様の構造が利益センタ会計にもある。詳しくは、管理会計(CO)3-2.付替・配賦を参照。

付替・配賦は、他領域からのデータフローではなく、利益センタ会計内の金額を振替しているだけ(利益センタを変更しているだけ)という点を押さえておこう。また、振替先の利益センタは周期・セグメントの設定から誘導する。

また、配賦基準については「6:4」など固定値を入力することもできるが、統計キー数値で動的にすることも可能。詳細は、変動割合で配賦する(統計キー数値を配賦基準とする)を参照。

【トランザクションコード】

周期、セグメントに関するトランザクションコードは、次の通り。

マスタ登録マスタ変更マスタ照会マスタ削除周期実行
実績配賦3KE13KE23KE33KE43KE5
付替4KE14KE24KE34KE44KE5
計画配賦3KE73KE83KE93KEA3KEB
付替4KE74KE84KE94KEA4KEB
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カスタマイズ操作方法

デフォルト利益センタの設定

デフォルト利益センタの設定は、もともと一つの設定だったが、S/4以降で財務会計側と管理会計側で別れた。同じものを設定すれば良い。

【起動経路】
SPRO>財務会計>総勘定元帳>マスタデータ>利益センタ>割当: デフォルト利益センタを勘定へ(Tr-Cd:FAGL3KEH)
SPRO>管理会計>利益センタ会計>実績転記>選択: 追加貸借対照表勘定と損益勘定>選択: 勘定(Tr-Cd:3KEH)

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テーブル

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