概要
品目マスタの見方、および原価積上結果の確認方法について解説する。品目マスタについては、すべてを解説するわけではなく原価周りに関連するところを中心にする。
カスタマイズ、トランザクションコード
- MM03 – 品目マスタ 照会
- CK13N – 品目原価見積 (数量構成あり) 照会
- S_ALR_87099930 – 原価積上実行結果
品目マスタ
品目マスタは、製品・商品、製造における部品などを管理するマスタ。
なお、品目マスタは品目×プラントごとにデータを保持している。つまり、同じ品目でもプラント(生産工場)ごとに異なる標準原価を保持している。
マスタ画面はプラント共通のビュー(画面)と、プラントごとのビューがある。プラント共通のビューには、品目コードや品目名称といったプラントによらない項目があり、プラントごとのビューには標準原価などの項目が表示される。
管理会計において重要なビューは、以下のあたり。
会計ビュー
品目評価、品目原価管理、および勘定設定に関連する項目が表示される。会計1ビュー、会計2ビューが存在する。
次の税法評価額、商法評価額が原価積上時に品目の金額に指定できる。
- 税法評価額1、税法評価額2、税法評価額3
- 商法評価額1、商法評価額2、商法評価額3
原価計算ビュー
原価計算に関する項目が表示される。こちらも原価計算1ビュー、原価計算2ビューが存在する。
- 原価計算ロットサイズ:価格設定単位より大きくする必要がある。
- 評価クラス:取引の発生時に自動勘定割当に影響する。つまり、取引時の勘定科目(原価要素)が決まる。
- 発生源グループ:費用を原価要素以上に細かく管理するために利用する項目。
- 間接費グループ:間接費を算出するために用いるキー。
- 原価管理区分:在庫評価(在庫の金額)を決める項目。
- [V]移動平均原価管理:移動ごとに品目価格を再計算する。原材料に設定する。
- [S]標準原価:標準原価を採用する。製品、半製品に設定する。
また、会計ビューと同様、「予定原価」という原価積上時に品目の金額とできる項目がある。
- 予定原価1、予定原価2、予定原価3
MPRビュー
MRP ビューでは、生産計画の品目ステータス、不良要因、特殊調達、連産品およびバルク品目区分を定義する。また、製造バージョンもこのビューで指定される。
原価積上の結果照会
原価積上の結果は、Tr-Cd:CK13N、S_ALR_87099930で照会できる。
- 特定の品目を照会する場合:CK13N – 品目原価見積 (数量構成あり) 照会
- 複数の品目を照会する場合:S_ALR_87099930 – 原価積上実行結果
また、品目マスタ(MM03)からも照会できる。原価計算2ビューの「将来」または「現在」ボタンから該当品目の積上結果を照会できる。
積上のステータス確認
原価積上の状況を確認するには、Tr-Cd:CK13N、S_ALR_87099930で確認する。積上の進捗がコード値で表現されている。
- ER:未処理
- SE:エラーなしで選択済
- SF:エラーありで選択済
- KA:エラーなしで原価積上済
- KF:エラーありで原価積上済
- VO:エラーなしでマーク済
- VF:エラーありでマーク済
- FR:エラーなしで承認済(リリース済)
- FF:エラーありで承認済(リリース済)
- FM:品目元帳決済によるリリース
また、この画面では積上のステータスだけでなく、計算結果の金額も表示される。
原価積上の金額確認
原価積上をした結果の金額について解説する。
以後、使用頻度の高い品目マスタ(MM03)から照会を前提に記載する。確認画面の起動経路は、品目マスタ(MM03)>原価計算2ビューの「将来」または「現在」ボタンを押下。
照会画面は、明細ビュー、原価構成ビューという2種類の表示方法がある。画面起動時は明細ビューで表示される。
原価計算明細(明細ビュー)
積上した原価の内訳をリスト化したもの。どの部品を何個使ったのか、どの作業が何時間あったのか、またそれぞれの原価はいくらかがわかる。
※6-1.製品原価計画(PCP)の概要に引き続き、車の原価計算を例に内訳イメージを提示する。
資源 | 明細カテゴリ | 原価要素 | 数量 | 合計金額 | 変動費 | 固定費 |
---|---|---|---|---|---|---|
ボディ | [M]品目 | [C50010]材料費 | 1個 | 300,000 | 300,000 | 0 |
エンジン | [M]品目 | [C50010]材料費 | 1個 | 150,000 | 150,000 | 0 |
タイヤ | [M]品目 | [C50010]材料費 | 4個 | 50,000 | 50,000 | 0 |
ラインA 塗装 | [E]内部活動 | [S50020]労務費 | 10h | 20,000 | 20,000 | 0 |
ラインB 組立 | [E]内部活動 | [S50020]労務費 | 20h | 30,000 | 30,000 | 0 |
資源に部品の品目コードなどが並ぶ。車の部品(ボディ、エンジン、タイヤ)と加工費(塗装、組立)が並び、それぞれの金額が表示される。なお、金額列に表示される数値は、数量を加味した金額になっている。例えば、タイヤなら 12,500円/個 × 4個 の「50,000(円)」が表示されている。
その他、各項目は以下の通り。初期設定で表示されている項目以外に追加できるものもある。
- 資源 (品目コードや原価センタなど)
- 明細カテゴリ (各明細に必要とされます)
- 作業区 (内部処理される活動に対する)
- プラント
- 原価要素
- 数量
- 数量単位
- 価格合計
- 固定価格
- 合計値
- 固定値
- 通貨
明細カテゴリ
原価計算明細の各明細を分類するための項目。例えば、部品だと「[M]品目」、塗装作業だと「[E]内部活動」と、原価の発生どころをざっくり分類している。
代表的な明細カテゴリは以下のあたり。特に赤字のカテゴリは、よく出てくるので頭に入れておこう。
明細カテゴリ | 説明 | 原価要素のソース |
---|---|---|
[E]内部活動 | 加工費を指す。 作業手順で指定した作業にかかる費用。 | 活動タイプ |
[F]外部活動 | マニュアル入力 | |
[G]間接費 | 原価計算表によって算出した費用 | 原価計算表 |
[L]外注 | マニュアル入力 | |
[M]品目 | 品目を構成する部品 | 自動勘定設定 |
[N]サービス | サービスマスタ | |
[P]マニュアルプロセス | マニュアル入力 | |
[T]テキスト明細 | ||
[V]変動明細 | マニュアル入力 |
原価要素の導出方法
明細カテゴリとセットで理解しておくべきものが、原価要素の導出について。原価要素は明細カテゴリに応じて自動でセットされる。
先程の表の「原価要素のソース」に元ネタを記載している。例えば、「[E]内部活動」だと、作業手順に割当されている活動タイプから誘導される。
原価構成ビュー
原価構成は、原価要素をグループ化したものである。材料費、労務費、など。積上した原価の内訳を表示するために利用する。
※6-1.製品原価計画(PCP)の概要に引き続き、車の原価計算を例に内訳イメージを提示する。
原価構成レイアウトのカスタマイズなど、詳細については6-3.原価構成、原価構成レイアウトを参照。
原価計算構造(構成部品の積上結果)
原価計算明細の画面左側に品目の構成部品がツリー状に並んでいる。部品をダブルクリックすると、部品の積上結果へドリルダウンする。車の例でいうと、エンジンが内製品の場合、エンジンの原価積上結果が照会できる。
原価積上に利用されたマスタの確認方法
原価積上で積上された金額の確認方法について、簡単に解説する。画面上に表示されている金額がどのように計算されているかを知る方法である。
- 積上実行時の原価計算バリアントや原価計算バージョンなどのパラメータ
- 原価計算データタブから確認。
- 原価計算開始日などの日付情報
- 日付タブから確認。
- 原価積上実行ID、原価積上実行日
- 履歴タブから確認。
- 原価計算に使用されたBOM、作業手順
- 数量構成タブから確認。
カスタマイズ操作方法
※今回はなし。
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
---|---|---|
KALA | 原価計算実行: 一般データ/パラメータ | 原価積上実行時のパラメータを保持。原価計算バリアントや日付項目などのパラメータを保持。 |
KALM | 原価計算実行: 原価計算対象 | 原価計算の各ステップで処理された対象の品目を保持する。原価積上番号(KALNR)は、品目×プラントごとに振られた内部的な項目。テーブル検索の条件に使いやすい。 |
KALV | 原価計算実行: 原価計算バリアント | 原価計算実行時の原価計算バリアントの一覧。原価計算バリアントを調べるだけならこちらが早い。 |
KALS | 原価積上実行: 原価計算レベル | 原価計算において、BOM構造を展開した結果。「原価計算レベル」に展開した際の階層レベルが入力されている。 ※参考:原価計算レベル |
KALSTAT | 原価積上実行: 個別ステップのための統計情報 | 上記、KALSをステップごと(選択、原価計算、マーク、など)にしたもの。KALSよりも使いやすい。 |
KALF | 原価積上実行: エラーログヘッダ | 原価積上で発生するエラー情報のヘッダ。項目「番号(CMF_NR)」をCMFPに紐づけ、エラー情報を取得する。 |
CMFP | 収集エラーの保存構造 | 原価積上で発生するエラー情報の詳細。上記、KALFで取得した「番号(CMF_NR)」をキーに、エラー管理(APLID)=[CK]品目原価見積、メッセージタイプ(MSGTY)=[E]エラーなどで検索する。 メッセージ(MSGNR)に画面上に表示されるエラー番号(060など)、対象(OBJECT)に品目情報などを保持。 |
KEKO | 原価積上 – ヘッダデータ | 品目ごとの原価積上の基本情報を保持。品目ごとにどのBOMや作業手順で積上されたかがわかる。キーは原価積上番号(KALNR)。 検索時は品目やプラントを使うといい。また、原価積上実行(KALAID)、原価積上実行日付(KALADAT)を持っているのでこちらも使える。 |
CKIS | 個別計画: 明細/原価積上: 明細化 | 積上の具体的な金額データ。原価計算明細の一行単位でデータを保持。構成部品ごとにレコードが用意されているイメージ。上記、KEKOから原価見積番号で紐付けし、原価計算日付、原価計算バージョンをキーにデータ取得すると良い。 |
KEPH | 原価積上: 製造原価の原価構成 | 原価構成ビューで照会した際に表示する金額を保持。 |
※品目マスタに割当されている原価積上実行IDは、品目マスタ>原価計算2ビュー>現在>「履歴」タブの「原価積上実行」と「原価積上実行日」から確認できる。
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