概要
G/L勘定(総勘定元帳勘定)について解説する。
カスタマイズ、トランザクションコード
- OB13 – 勘定コード表設定
- OBD4 – 勘定グループ定義
- FS00 – 勘定コードマスタ登録
- S_ALR_87012333 – 勘定コード一覧
G/L勘定の勘定グループ
「勘定グループ」について
この「勘定グループ」という言葉もSAP厄介ワードのひとつと感じている。財務会計ではこの「勘定グループ」というワードがいくつか出てくるが、その役割やニュアンスが微妙に違う。本ブログではなるべく誤解のないように紹介するので、頭の中で切り分けて見てほしい。
本ページでは、まず【G/L勘定の】勘定グループについて解説する。別の勘定グループが出てきた際は、違いなどを改めて説明する。
G/L勘定の勘定グループ
G/L勘定の勘定グループとは、勘定コードのコード体系を制御する設定である。現金勘定、資産勘定、債務勘定など勘定コードの分類ごとに設定する。設定は勘定コードごとに行い、G/L勘定コードマスタの勘定コード表レベルで指定する。
そして、システム的な役割は大きく2つある。
- G/L勘定コードの番号範囲を設定している
- ここでいう番号範囲とは、G/L勘定コードのコード体系を指している。たとえば、資産勘定は、「A~AZZZZZ」の範囲でコード値を設定する、という具合に制御をかける。
- G/L勘定コードマスタの会社コードレベルの項目ステータスを制御している
- マスタ登録時の項目の非表示/表示のみ/入力必須/任意入力を制御している。詳しくは次項で説明。
G/L勘定マスタの項目ステータス
「項目ステータス」について
この「項目ステータス」という言葉も今後いくつか登場するが、こちらはどの「項目ステータス」も意味合いは同じである。いずれも項目の非表示or表示のみor入力必須or任意入力を制御している。
G/L勘定マスタの項目ステータス
G/L勘定マスタの項目ステータスは、G/L勘定コード登録時の会社コードレベルの項目ステータスを管理している。つまり、勘定通貨、統制勘定などの項目について非表示/表示の制御をしている。
ただし、設定している箇所が2箇所ある。勘定グループ別の項目ステータスと、処理別の項目ステータスである。
両方の設定が異なる場合、より強い方の制御が優先される。優先順位は、非表示>表示のみ>必須入力>任意入力である。たとえば、片方の項目ステータスが非表示、もう片方の項目ステータスが表示のみの場合、該当項目の項目は非表示となる。
カスタマイズ操作方法
前回 財務会計(FI)2-1.G/L勘定(総勘定元帳勘定) で登録した経費勘定に、勘定グループを設定する。また、勘定グループと処理別の項目ステータスによって制御がかかることを確認する。
手順は以下の通り。
- 勘定グループの登録、番号範囲の設定
- 勘定グループの項目ステータスの設定
- 勘定グループの制御を確認する
- 処理別の項目ステータスの確認
- 処理別の項目ステータスの制御を確認する
勘定グループの登録、番号範囲の設定
費用勘定をグルーピングした勘定グループとして、「費用(一次原価)勘定」を作成する。G/L勘定コードの番号範囲をC~CZZZZZとして設定する。
- SPRO>財務会計(新規)>総勘定元帳(新)>マスタデータ>G/L勘定>準備>定義: 勘定グループ を選択する。
- 「新規エントリ」ボタンを押下し、以下の値を設定して保存する。
勘定コード表 | 1000 |
勘定グループ | CO00 ※シー・オー・ゼロ・ゼロ |
テキスト | 費用(一次原価)勘定 |
開始勘定 | C |
終了勘定 | CZZZZZ |
勘定グループの項目ステータスの設定
続いて、勘定グループの項目ステータスを設定する。今回は、例としてG/L勘定コード登録時の「勘定通貨」を必須項目に設定する。
- 同じく「定義: 勘定グループ」画面から登録した「CO00」をダブルクリックする。
- グループ選択欄の「勘定設定」をダブルクリックする。
- 「通貨」に対して「必須入力」のラジオボックスを選択し、保存する。
勘定グループの制御を確認する
勘定グループの登録、項目ステータスの設定が行えているか確認しよう。
番号範囲の確認
- G/L勘定コードの登録画面(Tr-Cd:FS00、もしくはFSP0)を起動する。
- 勘定コードに「B00001」を指定し、勘定グループに「費用(一次原価)勘定」を指定してEnterを押下する。
※G/L勘定コードの登録方法についての詳細を知りたい場合は、こちら。
設定が正しく行えていれば、「勘定コードをC~CZZZZZに設定してください。」という旨のエラーメッセージが表示される。
項目ステータスの確認
- 同じくG/L勘定コードの登録画面から「管理データ」タブを選択する。
- 「会社コードの勘定管理」欄の「勘定通貨」が必須項目となっていることを確認する。
処理別の項目ステータスの確認
処理別の項目ステータスを設定する。今回は、例としてG/L勘定コード登録時の「勘定通貨」を表示のみに設定する。
- SPRO>財務会計(新規)>総勘定元帳(新)>マスタデータ>G/L勘定>準備>追加処理>定義: 処理別の画面レイアウト を選択する。
- 「登録」をダブルクリックする。
- グループ選択欄の「勘定設定」をダブルクリックする。
- 「通貨」に対して「表示のみ」のラジオボックスを選択し、保存する。
処理別の項目ステータスの制御を確認する
処理別の項目ステータスの設定が行えているか確認しよう。勘定グループの設定は「必須入力」、処理別の設定は「表示のみ」であるため、正しく設定できていれば「表示のみ」が優先されている。
- G/L勘定コードの登録画面(Tr-Cd:FS00、もしくはFSP0)を起動する。
- 勘定コードに「C00001」を指定し、勘定グループに「費用(一次原価)勘定」を指定してEnterを押下する。
※G/L勘定コードの登録方法についての詳細を知りたい場合は、こちら。 - 「管理データ」タブを選択する。
- 「会社コードの勘定管理」欄の「勘定通貨」が表示のみ項目(グレーアウトで入力不可)となっていることを確認する。
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
---|---|---|
SKA1 | G/L 勘定マスタ | 勘定コード表レベルのデータを保持 |
SKB1 | 勘定コードマスタ (会社コード) | 会社コードレベルのデータを保持 |
SKAT | 勘定コードマスタレコード | 勘定コードのテキスト情報を保持 |
T077S | 総勘定元帳勘定グループ | 番号範囲を保持 |
演習問題
※複数回答の設問あり。
※答えはドラッグすると見れる。
項目ステータスについて、優先度が高い順に並べよ。
A. 表示のみ>非表示>必須入力>任意入力
B. 非表示>表示のみ>必須入力>任意入力
C. 非表示>表示のみ>任意入力>必須入力
D. 上記のどれでもない
正解:B
G/L勘定コードのソートキーをFS00にて変更する際、ソートキーがグレーアウトで変更不可であることに気付いた。どこの設定を見直すべきか。
A. 処理別の項目ステータス(登録)の設定
B. G/L勘定グループの項目ステータス
C. 画面レイアウトの項目ステータス
D. 処理別の項目ステータス(変更)の設定
正解:BD
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