概要
督促処理(督促プログラムともいう)は、得意先に対して督促状を出す機能である。
システムの作りとしては、前回説明した自動支払処理に似ている。トランザクション画面も似ており、自動支払と同じような操作感で触ることができる。
督促処理も自動支払と同様、試験でも実務でも頻出する機能なので、しっかりと理解しておきたい。督促処理は説明すべき内容が多いため、数回に分けて説明する。まずは、督促処理の事前知識や、関係するマスタ、トランザクションデータについて。
カスタマイズ、トランザクションコード
- FBMP – 督促処理更新
- FBL5N – 得意先明細照会
- FD02 – 得意先マスタ変更
督促処理
督促処理とは
得意先への請求書に対して、支払期日までに入金されなかった場合、督促状を出して支払を得意先に促したい。得意先請求書に対して、期日をチェックし、期日が過ぎている場合に督促状を出力する機能が督促処理である。
督促処理は、単に督促状を出すだけでなく、督促状を出す条件を指定できる。たとえば、期日を○○日超過した場合に督促状を出力する、請求額が○○円以下の場合は督促状を出力しない、など。
また、督促状を出した相手には、督促の状態(督促レベルという)を管理する。1度督促状を出して支払されたのか、2度督促状を出して未だ支払されていないのか、といった状況を把握できる。
督促処理の流れ
督促処理は次の4ステップで表現される。
1 | パラメータ入力 | 督促の対象伝票の抽出条件を指定する |
2 | 督促処理実行スケジュール | 督促の対象伝票の抽出処理 ※「スケジュール」という名称だが、単なる抽出処理 |
3 | 提案編集(任意) | 抽出結果に対して、手入力による修正を行う |
4 | 督促状印刷 | 督促状を印刷する、加えて督促状況(督促レベル)を更新する |
得意先、仕入先マスタの設定
督促処理における得意先、仕入先マスタの重要な項目は、以下のとおり。督促処理に関するマスタ設定は会社コードレベルの連絡文書タブにある。
クライアントレベル | |
住所 | |
言語 | 督促状は、得意先の言語にあわせて出力される |
会社コードレベル | |
支払条件 | 支払期日を決めるマスタ。参考:財務会計(FI)4-5.支払条件、現金割引 |
支払方法 | 何で支払をするのか(現金か、預金か、手形か、など)。入金方法が 指定されている場合、自動支払で入金されるため、通常は督促処理から 外れる。 |
督促処理 | 督促方法を定義したコード値。督促におけるメインのマスタ |
督促処理保留 | フラグが立っていると、督促処理の対象外とする |
最終督促日 | 前回の督促日。督促する度に更新される |
督促レベル | 事前定義した督促レベル。過去に督促した明細の中で、最も高い督促 レベルがセットされる |
督促担当者 | 督促状に印刷される担当者 |
督促領域 | 会社コードに複数の督促処理が存在する場合に利用する |
督促対象(処理対象)の会計伝票について
督促処理に影響する会計伝票の項目は、以下のとおり。
督促領域 | 会社コードに複数の督促処理が存在する場合に利用する |
督促キー | 督促処理キーのこと ※前述の「督促処理」とは別 |
督促保留 | 督促保留フラグが立っていると、督促の対象から除外される |
支払条件 | 支払期日に関する設定を持っているマスタ ※参照:財務会計(FI)4-5.支払条件、現金割引 |
最終督促日 | 前回の督促日。督促する度に更新される |
督促レベル | 事前定義した督促レベル。過去に督促した明細の中で、最も高い督促 レベルがセットされる |
カスタマイズ操作方法
得意先マスタに督促処理を設定する:FD02
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>債権管理>マスタレコード>変更 を選択する。
- 得意先コード「Customer01」、会社コード「1000」を入力し、Enterを押下する。
- 一般データ>住所タブ>通信>言語 に「日本語」をセットする。
- ALVメニューバー>会社コードデータ をクリックする。
- 「連絡文書」タブを選択し、以下のデータを入力して保存する。
督促処理 | 0001 |
督促処理保留 | H[保留理由 H] |
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
---|---|---|
LFA1 | 仕入先マスタ(一般セクション) | 仕入先マスタの一般データレベルの情報を保持 |
LFB1 | 仕入先マスタ(会社コード) | 仕入先マスタの会社コードレベルの情報を保持 |
LFB5 | 仕入先マスタ(督促処理データ) | 仕入先マスタの督促処理に関するデータを保持 |
KNA1 | 得意先マスタ:一般データ | 得意先マスタの一般データレベルの情報を保持 |
KNB1 | 得意先マスタ(会社コード) | 得意先マスタの会社コードレベルの情報を保持 |
KNB5 | 得意先マスタ(督促処理データ) | 得意先マスタの督促処理に関するデータを保持 |
演習問題
※複数回答の設問あり。
※答えはドラッグすると見れる。
督促処理のステップについて、実施する順序が正しいものはどれか。
A. 督促処理実行スケジュール→提案編集→パラメータ入力→督促状印刷
B. パラメータ入力→督促処理実行スケジュール→提案編集→督促状印刷
C. パラメータ入力→提案編集→督促処理実行スケジュール→督促状印刷
D. 督促処理実行スケジュール→パラメータ入力→提案編集→督促状印刷
正解:B
得意先マスタにおいて、督促処理に影響する項目は次のどれか。
A. 督促処理キー
B. 言語(一般データレベル)
C. 統制勘定
D. 支払条件
E. 督促条件
正解:ABD
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