概要
決算期における処理のひとつ、見越、繰延について解説する。
カスタマイズ、トランザクションコード
- FBS1 – 見越/繰延伝票入力
- F.81 – 見越/繰延伝票の反対仕訳
- FBD1 – 繰返伝票登録
- F.14 – 繰返伝票からの転記伝票作成
- SM35 – バッチインプット: セッション
見越、繰延
見越、繰延
見越、繰延は、費用や収益を正しい会計期間に転記するための処理である。まずは、どのような仕訳を登録するかを見ておく。
見越
計上されていないものを見込みで計上する処理。
【例】3月分の保険料1000円を4月15日に支払の場合
※SAPで登録するのは太文字の仕訳
日付 | 処理 | 仕訳 |
---|---|---|
3/31 | 決算 | 保険料 1,000 / 未払保険料 1,000 |
4/1 | 期首 | 未払保険料 1,000 / 保険料 1,000 |
4/15 | 支払 | 保険料 1,000 / 現預金 1,000 |
繰延
計上済みの費用や収益を翌期首などに振り返るための処理。
【例】3月15日に保険料2,000円を支払、うち1,000円は4月分の場合
※SAPで登録するのは太文字の仕訳
日付 | 処理 | 仕訳 |
---|---|---|
3/15 | 支払 | 保険料 2,000 / 現預金 2,000 |
3/31 | 決算 | 前払保険料 1,000 / 保険料 1,000 |
4/1 | 期首 | 保険料 1,000 / 前払保険料 1,000 |
見越、繰延伝票の入力
見越、繰延伝票の入力におけるポイントは、以下のとおり。
- 見越、繰延伝票の転記日は期末、反対仕訳伝票は翌期首に登録する。
- 見越、繰延伝票を入力時に、反対仕訳理由を入力する。
- 見越、繰延伝票と反対仕訳では会計期間が異なるため、反対仕訳理由の代替転記日フラグは必須。
※カスタマイズ:SPRO>財務会計>総勘定元帳>取引>調整転記/反対仕訳>定義: 反対仕訳理由 で「代替転記日」欄をONにする。 - 見越、繰延の反対仕訳は一括登録できる。
繰返入力プログラム
繰返入力プログラムは、決まった仕訳を定期的に登録する機能。毎月発生する定期仕訳を入力するために利用する。各期間において同じ金額が同じG/L勘定に転記されるため、見越、繰延には繰返入力プログラムが適している。
利用手順は、以下の通り。
- テンプレートを登録
- 繰返入力プログラム実行(テンプレートを集めるだけ、転記はしない)
- バッチインプットセッション登録(※セッション:伝票登録用の情報)
- 伝票転記
カスタマイズ操作方法
前払保険料の決算整理(繰延)を想定して演習を行う。
- 繰延伝票の入力:FBS1
- 繰延伝票の反対仕訳入力:F.81
また、毎月末(3ヶ月分)に保険料の支払を想定して、繰返伝票の登録を実施する。
- 繰延伝票の自動入力
繰延伝票の入力:FBS1
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>総勘定元帳>定期処理>決算処理>評価>見越/繰延伝票入力 を選択する。
- 以下のデータを入力し、Enterを押下する。
伝票ヘッダ | |
伝票タイプ | [SA]総勘定元帳 |
転記日付 | 2001/03/31 |
転記取消 | |
反対仕訳理由 | [05]見越/繰延転記 |
反対仕訳日付 | 2001/04/01 |
第一明細 | |
転記KEY | 40 |
勘定 | (前払保険料のG/L勘定コード) |
- 第一明細の入力画面で、以下のデータを入力する。
第一明細 | |
金額 | (任意の金額) |
第二明細 | |
転記KEY | 50 |
勘定 | (保険料のG/L勘定コード) |
- 第二明細の入力画面で、金額(第一明細と同額)を入力して保存(転記)する。
- 伝票照会(Tr-Cd:FB03)で登録した伝票を照会する。
→反対仕訳理由に「[05]見越/繰延転記」がセットされていることを確認する。
繰延伝票の反対仕訳入力:F.81
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>総勘定元帳>定期処理>決算処理>評価>見越/繰延伝票の反対仕訳 を選択する。
- 以下のデータを入力し、実行する。
→実行後のログ画面で、反対仕訳伝票の伝票番号が表示されるので、メモしておく。 - 伝票照会(Tr-Cd:FB03)で登録された反対仕訳伝票を照会する。
→反対仕訳理由に「[05]見越/繰延転記」がセットされていることを確認する。
転記日付が翌年度期首「2001/04/01」となっていることを確認する。 - 「反対仕訳伝票」をクリックする。
→繰延伝票にジャンプすることを確認する。
繰延伝票の自動入力
繰返伝票登録(テンプレート登録):FBD1
まず、繰返伝票のテンプレートを登録する。
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>総勘定元帳>伝票入力>参照伝票>繰返伝票(Tr-Cd:FBD1)を選択する。
- 以下のデータを入力し、Enterを押下する。
会社コード | 1000 |
繰返入力実行 | |
実行開始日 | 2001/03/31 |
実行終了日 | 2001/05/31 |
実行周期(月間隔) | 1 |
実行日 | 31 |
伝票ヘッダ | |
伝票タイプ | [SA]総勘定元帳 |
転記日付 | 2001/03/31 |
第一明細 | |
転記KEY | 40 |
勘定 | (保険料のG/L勘定コード) |
- 第一明細の入力画面で、以下のデータを入力する。
第一明細 | |
金額 | (任意の金額) |
第二明細 | |
転記KEY | 50 |
勘定 | (現預金のG/L勘定コード) |
- 第二明細の入力画面で、金額(第一明細と同額)を入力して保存(転記)する。
- 転記時の伝票番号をメモする。
繰返伝票からの転記伝票作成:F.14
実際の伝票を登録する。繰返入力プログラムの実行→バッチインプットセッション登録→伝票転記まで実施する。
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>総勘定元帳>定期処理>繰返伝票>実行(Tr-Cd:F.14)を選択する。
- 以下のデータを入力する。
会社コード | 1000 |
伝票番号 | (先程メモした伝票番号) |
決済期間 | 2001/03/31 ※他の期間を選択するとうまくいかないので注意 |
- 実行する。
→メッセージ「セッション 【セッション名】 が登録されました」と表示されるので、セッション名をメモしておく。 - メニューバー>システム>サービス>バッチインプット>セッション(Tr-Cd:SM35)を選択する。
→バッチインプット画面が起動する。 - メモしたセッションを選択し、「処理」ボタンをクリックする。
- ポップアップで「エラーのみ表示」を選択し、Enterを押下する。
- 伝票が登録されるので、伝票照会(Tr-Cd:FB03)で照会する。
2回目以降の伝票は、繰返伝票入力(Tr-Cd:F.14)から実施する。
- SAPメニュー>会計管理>財務会計>総勘定元帳>定期処理>繰返伝票>実行(Tr-Cd:F.14)を選択する。
- 以下のデータを入力する。
会社コード | 1000 |
伝票番号 | (先程メモした伝票番号) |
決済期間 | 2001/4/30 ※他の期間を選択するとうまくいかないので注意 |
テーブル
テーブルID | 内容説明 | 備考 |
---|---|---|
– | – | – |
演習問題
※複数回答の設問あり。
※答えはドラッグすると見れる。
マニュアルでの見越、繰延伝票を登録する際、入力が必要な項目は次のどれか。
A. 転記日付
B. 反対仕訳理由
C. 反対仕訳日付
D. 反対仕訳登録者
正解:ABC
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